優しさと温もり ページ18
「とりあえず、座ろ」
先輩に促されて、階段に座った。
「痛かったよな、足」
なんで、知って…?
「桜ちゃんに怒られた。
追いかけて、って言われて探してたら、偶然声が聞こえてきて」
桜ちゃん…
“私は味方だから”って
言ってくれたことを思い出した。
感謝しても、しきれない。
「うわ、パンプスへこんでんじゃん。
ひでぇー」
見ると確かに、踏まれたところが若干へこんでいた。
「これ、安物だったから」
「そーいう問題じゃないでしょ」
そう言うと先輩は、拳を開いてばんそうこうを出した。
ずっと握っていたのか、しわしわになってしまっている。
「これも、桜ちゃんがくれた。
情けない先輩だな、俺」
まゆげを下げて先輩が笑った。
初めて見る、寂しげな笑顔。
…情けなくなんかない。
来てくれて、すごく嬉しかった。
そう伝えたいけど、勇気が出ない。
「これ、貼ってきな。
トイレそこ曲がってすぐだから」
タイツをはいている私を、気遣ってくれたらしい。
しわしわになったばんそうこうは、先輩の体温であったかくなっていた。
「…ありがとうございます」
立ち上がって会釈して、そのままトイレに駆け込んだ。
涙を我慢するのが、限界だった。
玲子先輩への怒りと、
大津先輩の優しさのせいで、
涙はなかなか止まってくれなかった。
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作者名:まな | 作成日時:2012年8月24日 16時