気持ち ページ2
しばらく受話器を持ったまま待っていると、ふと大津先輩が口を開いた。
「…Aちゃん?」
まだ声が掠れている。
「なんですか?」
「…もう、落ち着いた。
ありがとね」
普通だったら、立場逆な気がするけど。
「史人そんなこと思ってくれてたんだなって思ったら、なんか泣けてきたんだけど…
Aちゃんが切らないでいてくれたから、すげー安心したよ」
先輩が泣いている間、実は私も涙を流してた、なんてことは秘密。
「…次は、嬉し涙にしてくださいね」
自分から、こんな言葉がでてくるとは思わなかった。
先輩もびっくりしたのか一瞬間があいたけど、すぐに嬉しそうな声が聞こえてきた。
「ふふ。じゃあ、そーするわ。
…なんか今日、Aちゃん機嫌いい?」
機嫌がいいっていうより、先輩に対する気持ちが、ちょっと変わったのかもしれない。
ほんとに、ちょびっとだけど。
「そーかもしれないです」
「そっか、それは良かった(笑)
じゃあ次の試合も来てよね!」
「…もし暇だったら」
こーいうとこ、強がっちゃうんだけど。
本当は今日の帰りに、サキと準決勝も来る約束したんだ。
「史人のために、ゴールするから」
まあ今日もしたけど、と笑う。
「絶対、勝ってください。絶対に」
お兄ちゃんも出場するはずだった県大会。
私が、何も考えず正直な気持ちを先輩に言ったのは、これが初めてかもしれない。
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作者名:まな | 作成日時:2012年8月24日 16時