先輩の、となり。２

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マネージャーは公平にくじ引きで、5人入ってもらうことにした。

少し多めに入ってもらうのは、途中で辞めちゃう子もいるかもしれないから。

「動機はなんであれ、にぎやかになっていいね」

先輩マネージャーがそう言うから、私も笑いながら頷いた。

入ってきた一年生マネージャーの子たちが、私に向かって声をかける。

「あのう、A先輩」

「何？」

「A先輩って藤ヶ谷先輩と付き合ってるんですか？」

「え？！付き合ってないよ」

マネージャーの先輩が笑いながら言う。

「この子には別に彼氏いるよ、3年の。あ、太輔はS女に彼女いるし」

「そっかー…あれだけかっこよかったら彼女いますよね」

なんだか一年前の自分を見ているような気分。

「藤ヶ谷先輩の彼女、どんな人なんだろ」

美月ちゃんを思い出す。

「かわいい人だよ、すごく」

そうですよね、とシュンとした一年生に先輩マネージャーが笑って言う。

「でも諦めなくていいかもよ。
A先輩もガッツで無理めな彼氏ゲットしたんだから！」

「ガッツ……」





ぽかぽかいい天気の日が続いていたから、無理めな彼氏である玉森先輩と屋上でお弁当を食べる。

今日はアスパラベーコンとコロッケとウィンナー。

「あ！ウィンナータコさんじゃん」

それだけでご機嫌な先輩。

「先輩もう生徒会じゃないのに屋上入っていいんですか？」

「いーのいーの。合鍵ちょっとお借りしてるだけだから。別に誰も使わないし」

食べ終わったからフェンス越しに下をのぞいてると、太輔が女の子と裏庭の方に歩いてるのが見えた。

「藤ヶ谷くんじゃん」

食べ終わった先輩が隣で私の視線を追ったみたいだった。

「あやしー。告白でもされてんのかな」

「かもしれないですね」

「……気になる？」

「え？太輔には美月ちゃんいるじゃないですか」

「藤ヶ谷くん腕どうなの？」

「今はギプスなんですけど。リハビリ始まったらさぼってないか様子見に行くつもりです」

「……ふーん」

先輩が何か言いたそうな気がした。

「先輩？」

「や、なんでもない」

最近たまに。

こんな感じのことがある。



「お腹いっぱいになったら眠くなるなあ」

先輩があくびをする。

「ひざまくらしてよ」
「え！」
「はい、ごろーん」


だけど、いつもの先輩にすぐ戻るから。

私もそんなに気にしてなかった。

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