先輩の、となり。２

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「ふーん。遊園地でデートして、今週は図書館で一緒にお勉強ね」

麻美が教室で玉森先輩とはどうなのか尋問みたいに聞いてくるから、答えた。

「ラブラブじゃん」
「ラブラブ…？」

「いいなー！」

「麻美だってラブラブじゃん」

「まあね。でもやっぱり最初の頃のときめきは薄れてくるからさ」

「でもうらやましいけどな。麻美と千賀くんみたいに何でも話せてお互いのことわかりあってる感じ」

そんな話してたら、A、って呼ばれたから見ると太輔だった。

「太輔。何？」

「や、昨日さ……」
「うん」
「あいつに、美月にカイロくれたのってAだろ」

美月ちゃんって言うんだ。

「あ、うん。そうだよ。寒そうだったから」

「……ありがとな」

「いいよ、私常に2個持ってるから」

ポケットからちらり見せると、太輔が笑った。

「いらねーだろ、そんなに」
「いるよ」

なんか太輔と喋るの久しぶりだな、と思った。



その日も先輩と図書館で勉強。

「先輩4月から受験生ですね」

「やな響き」

「進路、決めてるんですか？」

「んー…まだわかんないけど。理系だから理工か工学部かな」

「……遠くの大学に行く予定は」

「ないよ」

きっぱり。

「俺、ほら転校いっぱいしたからさ。
みんな最初は言うんだよね。
手紙書くね、電話するね、遊びに行くねって」

小学生の玉森先輩を、想像してみる。

「最初はくるよ。でもそのうち来なくなる。絶対。
しょーがないよね、みんな身近な生活が大事なの」

寂しそうな小学生の先輩が頭に浮かんだ。

思わず先輩の手をきゅって握ったら、先輩も握りかえして親指で手の甲をすりすりしてくる。

「だから俺。絶対遠距離とか無理。
こうやってさわれないと、無理」

先輩がけっこう寂しがりやなんだなってことは、付き合ってまだ2か月くらいだけどなんとなく気づいてた。

そういう小学生の頃の苦い思い出があるから、だったのかも。

「じゃあ私近くにいます」

「そうしてください」

お互いに顔を見合わせて笑う。



その時、マナーモードにしてる先輩のスマホがぶるぶる震えた。

先輩が画面を見て眉をひそめる。

「出なくていいんですか？」

「んー……たぶんかれんだと思う」

如月先輩？

「あいつメンタルに波があって。
急にめっちゃ電話かかってきたりすんだよね」

着信拒否してたら、今みたいに共通の友達の電話からかかってくるらしい。

「Aちゃんとこ何か言ってきたりしたら、すぐ教えてね」

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