先輩の、となり。２

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そのあとはお化け屋敷行ったり、メリーゴーランド乗ったり、ちょっとゲームセンターみたいなとこで遊んだり。

たくさんはしゃいで、たくさん笑った。

だんだん日が沈んできて、乗り物に電気がついてきらきら光りはじめた。

「だいたい乗ったかなあ」

「まだ、あるよ」

先輩が指差した先には、大きな観覧車。

「高いとこは平気なんですか？」

「平気。え、ちょっとバカにしてる」
「してません！」
「してるー」

今日一日一緒にいて、なんだか距離が近づいたような気がする。

「てっぺんまで行ったらちゅーしようね」

先輩が急にそんなこと言うから、一気に形勢が逆転した。

「そ、それは予告してするやつなんですか」

「うん、そう」

観覧車の乗り場でお姉さんが、いってらっしゃいませーって見送ってくれた。

ゆっくりのぼっていく観覧車の中から見える、いろんな乗り物が光ってきれい。

空もちょうど夕方と夜の境目で、紫とピンクが混じった色をしてる。

「先輩。今日、すっごく楽しかったです」

「うん、俺も。楽しかった」

「好きな人と遊園地きたら、こんなに楽しいんだなあって思いました」

先輩が斜めに背中にしょってた黒いカバンから、ごそごそ何か取り出す。

「はい、誕生日プレゼント。16歳、おめでとう」

「え？！だって遊園地がプレゼントじゃ」

「それはそれ。これはこれ」

どうしよう、いいのかな。

「あ、でも俺バイトしてないし。そんな高いもんじゃないよ」

「あけてもいいですか？」

どうぞ、って先輩が言うから、ラッピングを破れないようにはずすと、中には深緑と黄色のタータンチェックのマフラーが入ってた。

「かわいい……」

「学校にもつけていけるし、普段も使えそうでしょ」

そんなことまで考えて選んでくれてる。

「ありがとう…ございます」

首に巻いてみようとしたら、先輩がひょいって取り上げて、ふんわり巻いてくれた。

「うん。似合う」

「どうしよう、すごく嬉しい。毎日します」

先輩がマフラーを巻いたままの手で、私を近くに引き寄せる。

目を閉じたら、優しいキスが降ってきた。

「……先輩」
「ん？」
「てっぺん、まだですよ」
「あ、ほんとだ」

ま、いっか、って先輩が笑う。

「てっぺんまで、ずっとすればいっか」

「え？！私酸欠になるよ」

「あはは、それは困る」


だけど、先輩は本当に。

てっぺんに着くまで。なんなら着いてから、も。

何度も何度もキスをした。

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