先輩の、となり。

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「麻美」

千賀くんとその友達がドーナツ屋さんに入ってきた。

「久しぶり、Aさん」

千賀くんがまじまじと私を見る。

「Aさんなんか雰囲気変わった？」

「え？そうかな」

「ふふふ、恋してるからねー」
「ちょっと麻美」
「玉森先輩一色だからねー」

千賀くんの友達が何か思い出したように言う。

「玉森先輩ってK高の2年の？」

ん？

知り合い？


「いや俺は直接知らないんだけど。
うちの高校の2年に如月かれんって人いるじゃん？あの美人で有名な」

千賀くんも思い出したように言う。

「ああー、なんか読者モデルとかしてる人」

「あ！前に健永言ってたね。
トップティーンとかに出てるモデルの人が2年にいるって」

「そーそー、その人。
俺いっこ上に姉ちゃんいるんだけど、如月先輩K高の玉森って人と付き合ってるって言ってたんだよね」

あ、前に付き合ってた他校の彼女かな。

山口先輩もめちゃくちゃかわいい彼女って前に言ってた。

「玉森先輩もかっこいいから、2人で歩いてたらすげえ目立ってたらしいよ」

確かに。

先輩身長高くてスタイルいいし、おしゃれだし、モデルみたいだもんね。

麻美が私の肩に、ぽん、と手をおく。

「A、女は顔じゃない」
「麻美、嬉しいけどあんまり嬉しくない」

そういえば大崎先輩もお人形みたいにぱっちりした目で整った顔してる。

「な、なんか落ち込んできた」

「もー！せっかく楽しくドーナツ食べてたのに！
健永たち帰ってよ」


先輩、もう大崎先輩に好きだって言ったのかな。

大崎先輩は、何て答えたんだろう。





その日の夜珍しく玉森先輩から、元気？ってラインがきた。

宮田先輩と大阪のテーマパークで遊んでる写真付き。

『わー楽しそうですね』
『楽しいよー、明日は京都だよ』

いいないいな、京都。

先輩と清水寺行ったり八つ橋食べたりしたいー！

『学校でつい先輩探しちゃいます』

既読になったけど、先輩からは何も返ってこない。

そのままスマホ握りしめたまま寝てしまってた。

朝起きたら未読が1、になってて寝ぼけたままひらいたら。

『俺も』

って一言だけ入ってた。


ん？んん？

俺も？俺も何？

つい私を探すってこと？

「いやいや。まさかね」



「Aー！遅刻するわよ」

時計を見たら、いつもよりだいぶ過ぎてる。


まずい用意しなきゃ。

気になるけど改めて聞きにくい。

昨日だったら会話の流れで聞けたかもしれないのに！

なんで寝てしまった、私！

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