3. ページ3
クラスに戻ってホームルームが終わると今日はもう下校時間だった。
「A、帰る？太輔は野球部見学しに行くって言ってたけど」
廊下から太輔が顔をのぞかせる。
「A、お前も行くぞ」
「あ……」
私のお兄ちゃんもこの高校の野球部出身で、甲子園出場はお兄ちゃんのかなわなかった夢でもあった。
陸上は中学ですっぱりやめたし。
小さい頃からお兄ちゃんと同じチームで野球をしてた太輔を応援するのは私にとって自然なことだった。
春休みに太輔から野球部のマネージャーにならないか聞かれて、二つ返事でいいよ、と答えていた。
「太輔、あのさ」
「うん？」
「マネージャーのことなんだけど。
私、生徒会にも入りたいなと思って」
「生徒会？なんで？」
あは、とごまかすように笑った私を、太輔と麻美は逃がしてくれなかった。
「ひとめぼれえ？！」
「A。悪いこと言わない、会長はやめといた方がいい。あれは相当モテると思うよ？」
「違う、会長じゃなくて。書記の、玉森先輩」
「あー……あのゆるふわの子犬みたいな。いや、あれも相当モテるよ」
「わかってる」
「彼女いるんじゃない？」
「そうかも」
黙って聞いてた太輔が顔を上げた。
「生徒会は好きにすればいいけど。
野球部のマネージャーは？」
「それもやりたい」
「じゃあまあとりあえず野球部行こーぜ」
「その前に、生徒会室行ってくる」
「あ、ちょっと。A？」
西校舎の2階のはじっこの生徒会室には、もうすでに何人かの一年生が教室の前で大崎先輩から何か説明を受けていた。
「あ、あなたも生徒会に入りたいの？
ここに名前とクラス書いてちょっと待ってね。
思ってたより希望者が多くて、簡単に面接みたいなものさせてもらってるの」
副会長の大崎先輩は近くで見るとお人形さんみたいだった。
5人くらいまとめて名前を呼ばれて、私は生徒会室に足を踏み入れた。
この字型に組まれた机の右側に玉森先輩が座っている。
色白のきれいな指でボールペンをくるくる回したり、何か書いたりしてた。
「AAさん？
志望動機を簡単にお願いします」
「は、はい！私が生徒会に入りたいと思ったのは」
声、震えそう。
「玉森先輩にひとめぼれしたから、です」
玉森先輩が、きょとんと顔を上げる。
ぶははって北山先輩が爆笑して、山口先輩にはあきれたように睨まれた。
「先輩を、好きになりました」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニイナ(プロフ) - keiさん» keiちゃん！こちらも読んでくれてる！これボス恋の影響もろに受けてるから潤之助くん(ボス恋の役名)風味が強いんだよー(艸дﾟ*)でも嬉しい♪ありがとー！ (2021年7月13日 22時) (
レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - やばい！玉森先輩がかっこよすぎる(〃▽〃) (2021年7月13日 20時) (レス) id: ab1b9c5f30 (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - anier017さん» わー、最高だなんてそんな風に言っていただけて私の方こそ最高に嬉しいです！玉森先輩彼氏になるとどんな感じなんでしょうね(∩∀｀*)またお付き合いいただけますように♪あちらのお話もまたお暇な時にぜひ♪ (2021年2月20日 16時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
anier017(プロフ) - 最高でしたー！！本当に毎日更新されるのがほんとに楽しみで、夢主ちゃんと玉森先輩がついに付き合って、とっても嬉しい気持ちになりました！続きも楽しみにしてます＼(^o^)／別のお話の方も楽しみにしてますね♪ (2021年2月20日 10時) (レス) id: a030ce827e (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - anier017さん» anier017さん、はじめまして♪コメントいただけると思ってなくて通知二度見しちゃいました。一緒に楽しんでいただけてすごく嬉しいです。素敵なコメントありがとうございます(*´∀`) (2021年2月15日 15時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nina
| 作成日時：2021年1月31日 20時
