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自転車置き場の近くまで来たら、先輩がちょっと待ってて、って走って行った。
遠くから野球部が練習している声が聞こえてくる。
太輔ちゃんと練習してるかな。
明日からどんな顔すればいいんだろ。
先輩がいつもの黄色い自転車を押してきた。
「はい、乗って」
「え?!」
「え?歩いてく?さっきみたいに?」
「乗せていただきます……」
横向きに座ると、先輩が振り向いた。
「乗った?」
「は、はい」
「どこ持っててもいいから落ちないでね」
じゃあ行くよーって先輩がゆっくり自転車を漕ぎ出す。
先輩が黄色い自転車に乗ってるって知ったのは、つい最近のこと。
なのに、まさかその自転車の後ろに乗ってるなんて。
人生何が起こるかわからないなあ。
「着いたよー」
先輩がゆるくブレーキをかけて自転車を止めてくれた。
「どうかした?」
「ちょっと…人生について考えてました」
一瞬きょとん、としたあと先輩がぶふって吹き出す。
「テーマ深すぎない?」
整形外科でレントゲン撮って診察してもらったけど、靭帯切れたりしてなかったし骨も異常なくて、やっぱりただの捻挫だった。
なるべく動かさないようにしたら2、3日で治るって。
「よかったね」
「本当にありがとうございました」
ぺこり、ってお辞儀をする。
「佐藤さん、歩きにくかったら松葉杖貸し出しできますよ?」
看護師さんが声をかけてくれる。
「いえ、テーピング自分でできますから。大丈夫です」
「あら、あれ自分でしてたの?保健室の先生じゃなくて?」
「はい」
あとは会計を済ませるだけなので、待合室で先輩と並んで座って待つ。
「Aちゃんあんな足速いのに、高校では入んないの?陸上部」
「中学の時、3年になってから怪我ばっかりで。
リハビリして治ったらまた違うとこ怪我して」
「あ…だからテーピング自分でできるんだ」
私は頷いて続けた。
「走ることが大好きだったのに、最後の方は好きかどうかもわからなくなっちゃって。
だからもうすっぱり辞めたんです」
「そうだったんだー…」
「でも今日久しぶりに全力で走って。
すごく楽しかった。
やっぱり走るの好きだなって思えました。
きっかけは何でも。
そんな気持ちにさせてくれたのは、玉森先輩です」
前を向いてた、先輩がこっちを見た。
「ありがとうございます」
先輩は少し黙ったあと。
そっか、って優しく呟いた。
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ニイナ(プロフ) - keiさん» keiちゃん!こちらも読んでくれてる!これボス恋の影響もろに受けてるから潤之助くん(ボス恋の役名)風味が強いんだよー(艸д゚*)でも嬉しい♪ありがとー! (2021年7月13日 22時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - やばい!玉森先輩がかっこよすぎる(〃▽〃) (2021年7月13日 20時) (レス) id: ab1b9c5f30 (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - anier017さん» わー、最高だなんてそんな風に言っていただけて私の方こそ最高に嬉しいです!玉森先輩彼氏になるとどんな感じなんでしょうね(∩∀`*)またお付き合いいただけますように♪あちらのお話もまたお暇な時にぜひ♪ (2021年2月20日 16時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
anier017(プロフ) - 最高でしたー!!本当に毎日更新されるのがほんとに楽しみで、夢主ちゃんと玉森先輩がついに付き合って、とっても嬉しい気持ちになりました!続きも楽しみにしてます\(^o^)/別のお話の方も楽しみにしてますね♪ (2021年2月20日 10時) (レス) id: a030ce827e (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - anier017さん» anier017さん、はじめまして♪コメントいただけると思ってなくて通知二度見しちゃいました。一緒に楽しんでいただけてすごく嬉しいです。素敵なコメントありがとうございます(*´∀`) (2021年2月15日 15時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nina | 作成日時:2021年1月31日 20時