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そう告げると、楽屋の入り口に立ったままの大倉さんがますます不思議そうな顔をした。
大「・・ここ北山の席?」
「あ、そうです」
そう返事すると大倉さんは、北山さんの隣の席
すなわち私の斜め向かいに座った。
「コーヒー飲みますか?」
さっきリハ中に買って来た某人気コーヒーショップのコーヒー。
私の分だったけど、いいや。
大「ええの?自分の分やったんちゃうん?」
「いえいえ、どうぞ」
大「ほんま?ありがとう、頂くわ。」
コーヒーの入ったカップを渡すと、思いの外柔らかい笑顔。
チラッと横目でコーヒーを飲む大倉さんを見ると、目が合った。
大「あのさ、名前聞いてもええ?」
「あ、田中 Aです」
大「Aちゃん。」
「えっ」
いきなり名前で呼ばれて、変な声が出た。
職業柄イケメンには慣れてるけど、初めて間近に見るとやっぱり少しドキッとする、かも。
大「ん、俺なんか顔についてる?」
「あ、いえすみません。」
ついじっと凝視してしまっていた。
すっと鼻筋の通った大人っぽい端正な顔立ち。
本当に北山さんと同い年・・なの?
北「ただいまー。あれ、大倉来てたの?」
大「お前どこ行ってたんー?あ、これAちゃんから頂きました」
北山さんが帰ってきて、大倉さんの隣に座る。
「あ、これ北山さんのコーヒーです。」
北「ありがとうー。Aちゃん大倉になんもされなかった?」
大「してへんよ!印象悪いわぁ〜」
北「だって初対面でしょ?なのに大倉もうAちゃんって呼んでるし」
大「ええやん。北山もAちゃんって呼んでるやんけ」
北「だって俺のマネージャーだもーん」
ねーっ、と小首を傾げてくる北山さん。
31には見えません・・・。
「じゃあ私席外しますので、ごゆっくり」
久しぶりにお二人でお話ししたいこともあるだろうから、スケジュール帳を持ってチーフマネージャーのところへ。
少しでも、休みが取れるといいんだけど。
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作者名:Seno | 作成日時:2017年8月13日 1時