千の夜をこえて (ページ29)

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ep.29 ページ29

山崎 side

可愛いやつ1人もいなかったじゃねーかよ

「エヘへへ！ Aさんもですか？！」

『うん！笑お兄ちゃん大好きなの笑』

「あ！お兄ちゃん！」

『？！？！？！え？！？！』

「……何でお前が」

「ん？知り合い？！」

『ちひろちゃんのお兄ちゃんって、これ？』

「これってやめろ」

ちひろ「はい！これです！」

〜

『バイバイちひろちゃん！』

ちひろ「ありがとうございました！あの、また連絡してもいいですか？」

『いつでもして！』

ちひろ「エヘへ！」

あいつ1人で帰るきかよ

「送ってくる」

ちひろ「笑笑」

『どうしたんですか？？』

「送る」

『大丈夫です』

「女が1人で歩いて帰るとか有り得ねえから」

『……』

〜

さっきから俺をチラチラ見てくるけど何だよまじで

「おい、言いたい事あるなら言えよ」

『あ……野球…しないのかなって』

「ちひろから聞いたんだろ全部」

『まさか、颯一郎さんの事だと思ってなくて』

「……」

『野球したくないんですか？』

「……お母さんもいねえのにやったって意味ねえだろ」

『意味ないことないですよ。お母さんは絶対に野球やってるところ見たいはずです』

「……何も知らねぇ奴はそうやって綺麗事しか言わねえんだよ」

『……』

父「A？」

『お父さん』

「じゃ、」

『あ、ちょっと！これ！』

〜

＂意味ないことないですよ。お母さんは絶対に野球やってるところ見たいはずです＂

〜

「颯一郎も落ちたよな〜。あいつ○○大学野球の推薦で入ろうと思ってるらしいぞ笑」

「無理だろ笑今の実力じゃ笑」

「金があるから金でどうにかすんだろ笑」

「……」

〜

俺だって

やれることなら野球やりてぇよ