拾って、掬われた【snr】 (ページ5)

今日:6 hit、昨日:16 hit、合計:6,175 hit

よっつページ5

二人でリビングに行き向かい合って座る

『あの、質問してもいいですか』

「？はい」

『お名前は』

「センラです」

なんかお見合いみたいだな。まぁお見合いならもっと事前情報あるはずだけど。

『えーっと、苗字は？』

「？なんですか？それ」

この人自分の苗字知らないの？

『え、名前の前につく……いや、大丈夫です』

本当に分かっていない様子の彼を見て諦める

『じ、じゃあ、なんでコスプレして道端でダンボール入ってたんですか』

「んー、こすぷれ？ってなんかわかりませんけど…センラ、成人の儀式で人間とケーヤクするために魔界から来たんですよ。だんぼーる？ってあの箱のことですよね、人間はあの箱に入った生き物を持って帰るって聞いたんで入ってました」

お兄さん。いや、センラさんは訳もわからないことをサラサラと話した
儀式？契約？魔界？ダンボールの件は…うん。わからん。

『あの、契約とか魔界とかってどういうことですか？センラさん、人間ですよね？』

「？センラ、キョンシーですよ？」

キョンシー？そんな訳ない、そんなもの実在しないんだから。

「その顔、信じてませんね？じゃあ…」

そう言うとセンラさんは腕を捲ってみせた

その腕を見て私はぎょっとする。ツギハギだらけで痛そう。どう見てもメイクじゃない。

「まだ信じてくれません？んー…あっ！」

袖を戻して少し考えたあと、センラさんはぶつぶつとなにかを呟いた
すると

『え、』

『へへ、これで信じてもらえました？センラ、ちょっとだけ魔法も使えちゃうんです』

センラさんは得意げに笑う
これは…信じるしかない、人間は手から黄色い炎なんて出せない

『…わかりました、信じます』

「よかったぁ信じてもらえんで追い出されて仮ケーヤク破棄なったらどないしよか思いました」

えっと…仮契約？私、そんなのした、、？