アイツの背中 １１

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でもまあいっか。

「Aちゃん、忠義くん、
ここの階段部分さあ、
こっちの仕様に変えた方がいいかな。
それとここのフロントのカウンターも。
もっとリゾート感を出した方が・・・」

タケルさんはもう仕事モード。

「そうですね・・・。
開放感を重視するなら、
仕様はこっちの方がいいですよね」

忠義も目が真剣。

「Aちゃんはどう思う？」

タケルさんが聞いてくる。

「そうですね。
非日常を求めていらっしゃるから。
むしろ、このプランの方が・・・」


もう今日が、
社長にロビー部分の仮図面を見せる日なのに、
今更、
ああでもないこうでもないって、
３人で話し出しちゃって。

もはや、設計室状態。


ふと、熱い視線を感じて。


顔を上げたら・・・

社長かと思ったら、
高坂さんだった。


さっきからずっと見てたの？

この前までの虚ろな目はしてない。


でもやっぱりまだ怖い。


忠義が私の視線の先に気付いて、
慌てて立ち上がって、
私を庇うように立ちはだかった。


異様な空気に、
タケルさんが、
不思議そうに私たちを見比べて。


「誰？」

私に耳打ちして聞いてくる。


「えっと、忠義の秘書の人・・・」

そう言った時。


「この前は申し訳ありませんでした」

高坂さんがいきなり、
床に這いつくばった。


思わず、放心。


「・・・ちょっと、こんなとこでやめてや」

忠義が慌てて抱き起こしてる。

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