【銀魂】己の行く道 貴方の背中【土方十四郎】

やりかねない　土方side ページ45

土方side


土「……なんだこの有り様は……」


思わず溜め息が漏れてしまう。眉を潜めながらに見つめる先には飲んだくれ、ガーガーといびきをかきながら眠りこける近藤さんや総悟、その他隊士達であった。

先程まで、この大広間では俺達真選組の飲み会的なものが開催されていたのだが、今となっては喧騒ではなくいびきが煩い。警察が揃って何をしてんだと呆れを滲ませつつ、新しいタバコを取り出してはおもむろにくわえた。


…コイツらがこうなる一時間程前に、Aが余計な計らいでここに招きやがった万事屋の奴等がやっとこさお帰りになり、部屋には隊士達だけが寝転んでいる。足の踏み場がねぇくらいに。


土「明日も仕事だっつーのに……」


もしこれで明日二日酔いで仕事が出来ねぇなんざ抜かす野郎がいたら士道不覚悟で切腹だなコレは、と。そんなことを考えていれば、ふと、俺はとあることを思い出す。


土「……Aはどうした…？」


まさかこんな野郎共に紛れて寝てたりなんざしねぇよな、と、俺は足元に寝転ぶソイツらの中からAを探す。が、どうやらその中にAの眠る姿はなく、なんとなく安堵した。

まぁまさかこんな所で眠るような神経を持つ奴じゃ…………あるな。やりかねない。何かと危なっかしい奴だし、いつも何を考えてるかまともに読めねぇし。何か考えてるなぁと思ったら特に何も考えてなかったりするし。


動物に例えるなら、気まぐれな猫のような奴だ。


……と、そんなことは置いといてだ。


なら、アイツは一体何処に行ったんだ？

自分の部屋に戻ったのだろうか。確かアイツも万事屋の野郎と共にそれなりに酒を煽っていたように思える。総悟にも次から次へと酒を注がれていたし。まさか、とは思うが。


土(……廊下で倒れてたりしねぇよな…)


部屋に戻る途中で眠りこけているとか、……いやいや流石にそれは……………有り得るな。やりかねない。通常の女と同じにしちゃあいけねぇ。アイツは何かと俺達の予想を越えてくる。失礼だと言われようがそれが事実だ。俺は曲げねぇ。


土「……つか、なんだって俺がアイツに気ぃ使わなきゃならねぇんだ」


……そうだ。そもそもアイツが廊下で寝転んでいようとなんだろうと俺にゃ関係のねぇことじゃないか。俺が気にすることではない。


俺も今日は近藤さんやその場の雰囲気に流されて酒を入れちまったし、早いとこ眠ってしまおう。そうしよう。


土「……………」


………部屋に戻るついでに、見ておくか。一応。

一応だから　土方side→←こんなんでも

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す