これからも ページ41
…今までだってそうだ。自分が信じる道を、自分の足で歩いてきた。勿論、たくさんつまずいて、転んで、痛い思いもしてきた。けれど、それが間違いだったなんて微塵も思わない。
だって、そうじゃなきゃ出会えないような面白い連中に出会えたんだから。
「…私は、権力も地位も要らないんです。そんな大層なもの背負っても重たいだけですから。私の性には合いません」
松平公は、ただ黙って私を見つめる。私もそれを真っ直ぐに見つめ返す。
「それに私、ここが気に入ってるんです。真選組が、好きなんです。とても」
それは、嘘じゃない。最初は、なんか感じ悪いのいるし、嫌悪感を抱いていた。けれど、皆と関わって、一緒に過ごして、共に戦って、私にとって、大きな存在に変わって行った。皆のことが、大切だった。
「…私は、真選組副長補佐です。今も、これからも」
だから、このお話はお断りさせていただきます、と、私は松平公に頭を下げた。なんだか申し訳ないけれど、これが私の本音なのだ。
松「…そうか…じゃあ代わりに、ボーナスでもあげちゃおうかなァ」
と、松平公は先程と同じように、いたずらっぽく笑ってはそう言った。私もそれに笑い返して、「それはいいですね」と。ボーナスは、貰っておいてもいいかもしれない。断る理由がない。
松「ま、残念だが仕方ねぇ。おじさんは退散するとすらァ」
またな、と、右手をヒラリと上げて立ち上がり、松平公は襖を開けて部屋から出ていった。それを頭を下げて見送る。遠ざかる足音を聞きながら、私は顔を上げた。
土「…良かったのか、お前」
「はい?」
土「…断ったりして」
目を逸らしながらに、土方さんは言う。何を言っているんだこの人は。そして。
「…土方さんは私を止めに来てくれたんじゃなかったんですか?」
土「…は?」
「そうじゃないんなら何しに来たんですか?」
立ち尽くしている彼を見上げながら私はそう聞く。そうだ。私を止める以外に何の理由があるのだ。
土「…別にたまたまだ。俺ァテメーが出世しようがなんだろうが関係ねーしな」
うるせぇ補佐がいなくなんなら清々すらァ。そう言った彼の頬が、少しばかり赤くなっているのは、気のせいじゃないということにしておこう。可愛い所もあるもんだ。
「フフン、残念でしたね土方さん。私は居なくなりませんよ。この先もずーっと、隣で喚きまくって差し上げます」
土「…ハッ、勘弁してくれ」
そう言っては、私も土方さんも、近藤さんも笑った。
…だから土方さん。
…これからも、よろしくお願いしますね。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時