答えは ページ40
「……、」
客間の壁に掛けられている時計の秒針の進む音が、部屋を満たしている。その音がなんだかこの部屋の雰囲気を現しているように、淡々と鳴っている。松平公の目が、私を見据えている。近藤さんも横目に私を捉えている。なんだって朝からこんなシリアスな感じにならなければならないんだ。後できっと、日向ぼっこをしようと心に決める。
松「……」
近「……」
「……そのお話、」
すぅ、と私は声を発するべくゆっくりと息を吸い込み、言葉を紡ごうとする。
どうするか、なんて、とっくのとうに答えは決まっている。こんな損のないお話なんだから。私にとって、有利なものなのだから。
その瞬間。
土「その話、少し待っ…、」
「お断りします……って、え」
土「……え」
私が言葉を発するのと同時に、私と近藤さんの後ろにある襖がスパンと開かれた。するとそこには、何故か土方さんが仁王立ちで立っていて、近藤さんと共に振り向けばぽかんとした顔を浮かべていた。なんつー顔をしてるんだこの人は。
「土方さん、何してんですか」
土「は、あれ、いや、……え、はぁ?」
いや、はぁ?、はこっちの台詞である。なんだ、突然現れたかと思えば次の瞬間には間抜け面をぶら下げているなんて。何があったんだ一体彼に。
土「…え、Aお前、……え、断ったのか?」
「え?はい。お断りしますけど」
近「……え、そうなの?」
と、今度は近藤さんまでもが私を丸くさせた目で見る。なんなんだ二人して。私は怪訝な顔を浮かべては首をかしげた。
松「……理由を一応聞いていいか」
この場で唯一なんの動揺も見せていない松平公が私にそう問いかける。私は再びその人に顔を向け、口を開いた。
「…お話は有難いことだと思います。私には勿体ないくらいに。けれど、私は、……誰かに決められた道を歩きたくはありません」
頂いたお話は、決して悪いものではない。寧ろ、私にとってはいい話だとも思う。けれど、私はそれでは嫌なのだ。
「勿論給料云々は美味しい話だと思います。でも、私が欲しいものはお金でも、ましてや大きな権力でもありません」
……私が欲しいものは、そんな簡単なものなんかじゃない。
「私にとって、とても有利な話です。けれど、それではつまらないじゃないですか。自分の歩く道は、自分で選ぶから面白いんです」
……誰かが引いたレールの上を歩くなんて、何にも面白くない。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時