【銀魂】己の行く道 貴方の背中【土方十四郎】

何処へ　土方side ページ35

土方side


……討ち入りの日から、数日が経過した。今日も今日とて相変わらず朝から総悟による襲撃を受け、怒鳴り散らした後の仕事である。そりゃあタバコの本数も増える訳で。

煙の中、俺は一人部屋で資料を睨みつけている。文字の羅列に嫌々目を通して行くが、……先程からずっと思っていることがある。それというのも。


土「……A、何やってんだ？」


ポツリ。資料から一旦目を外してはそう呟いた。が、それを誰かが聞いている訳ではないため、俺一人の部屋に静かに消えていく。勿論、返事なんざあるわけがねぇ。


いつもなら、朝からヘラリと笑って「お〜はようございま〜す」と何処の朝のニュース番組の天の声だよと言いたくなるような呑気な挨拶と共に部屋に入ってくるのだが、今日はどうもソイツが現れる気配がない。時計をチラリと見てみれば、現在時刻9時30分を軽く経過していた。どう考えても、遅い。既に他の隊士達も自分の仕事に取りかかっている事だろう。……何処かのサボり魔は別として。


……はぁ、と溜め息をつきながら、俺はAの部屋に行くべくその場から立ち上がった。

Aはこの間の討ち入りの際、右足と左肩を負傷しているため、何処か見回りか何かに出ている訳でもない。俺も近藤さんも暫くは見回りには行くなとアイツにも言ってある。

まぁ、Aがその忠告を無視して外に出ている可能性もなくはないが、あの傷じゃ何かあった時に自分一人で対処のしようがねぇのは分かってるだろう。そのためそんな考えはないと言っていい。


……となると、アイツは何処へ…、


と、襖を開けて少しばかり歩き、Aの部屋へと足を進めていれば。


沖「何処に行くんですかィ、んな急いで」


と、たまたますれ違ったサボり魔、総悟が、俺の隣にわざわざ並んでそう問い掛けてくる。俺は急いでいたのか、とその時気づき、気まずくなった俺は進める歩を少しだけ緩めた。


土「丁度いい。総悟。オメーAのこと知らねぇか」


額にアイマスクをつけたままのソイツにそう聞けば、総悟は「え？」と少しだけ目を丸くさせて。


沖「土方さん、もしかして聞いてないんですかィ？」

土「？……何をだ？」


聞くも何も、何か重要なことを聞いた覚えはない。俺は「聞いてねぇが」と首を振ると、ソイツは「あら、」というわざとらしい声を出す。


沖「てっきり、もう許可でも出したのかと思ってやした」

土「あぁ？んだよソレ、なんのことだ」


訳が分からず俺は「早く答えろ」と促すようにソイツに目をやると、総悟は淡々と口を開いた。

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