命の恩人 土方side ページ33
土方side
……車特有の揺れが、なんとなく眠気を誘う。だが、真夜中だというのに暴力的に煌めく江戸の街並みが、俺の目を覚まさせる。目を閉じようと瞼の裏にまでその光は届くものだから鬱陶しい。
討ち入りの帰り道。俺達真選組は現場から立ち去り、パトカーに乗り込んで屯所へと帰ろうとしていた。疲れ果てて眠ってしまいたいが、先程も言った通り、そんな暴力的な光がそれを許さない。
山「今日は本当にありがとうございました、Aさん。Aさんは俺の命の恩人ですよ」
と、助手席の俺の隣で運転しながら真後ろに座っているAにそんなことを言う山崎。
「お礼なんかいらないよ。命の恩人とかやめてよね〜」
銀「いやいやA。そういうのはこの先ずっと使えるぜ。ジミーパシリ権を獲得したな」
山「嫌な言い方しないでもらえます?」
戦いの後だというのに呑気にヘラヘラと笑ってたちの悪いことを呟く万事屋には、疲れなんか見当たらない。本人はどうだか知らんし興味もねぇが、流石は『白夜叉殿』と言った所か。
「そうよ銀時。仲間を助けるのに理由なんているの?」
山「Aさん…!」
銀「オイ大串くん見たか今の。オメーの部下スゲードヤ顔しながら言ったぜ」
土「うるせーよオメーは、ちっとは黙ってやがれ」
うざったく思いそう言うと、不服そうに「ハイハイ、スミマセンね〜」とほざきながら座席にふんぞり返る。さっさとこんな奴とはおさらばしてしまいたいが、時間も時間だしで今日の所は屯所に泊めることになっている。こんな野郎のために部屋を一つ貸すのかと思うとどうしようもなく苛立つ。
「そうだよ銀時は。余計なこと言ってんじゃないわよ」なんて言いながら、あくびを一つするソイツ、Aを、俺は討ち入り前と同じようにバックミラーからなんとなく見つめる。
今は服でよく見えねぇが、ソイツの白いシャツの中には痛々しく包帯が巻かれている。きっと止まりきっていない赤色が染みていることだろう。大したことないとAは言うが、それなりにその傷は大きく深い。そのため、今は黒いジャケットは身に付けていない。右足にも同様、包帯が巻いてある。
銀「お前まで冷てぇこと言うなよ。一応俺協力者なんですけど〜」
「はいはい、ありがとうございました〜」
と、下らないやり取りをしながら笑っているソイツだが、きっとその傷は相当痛むだろう。時折車が大きく揺れる度に痛そうに顔を歪めているのを俺は知っている。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時