もっと剥げろ ページ31
今現在、土方さんは私の前で膝をついていて、私はパトカーに座っている。右足が少しばかり痛む事になるだろうが、この体制なら土方さんに私の華麗なる膝蹴りを食らわせることが可能だ。今がチャンスだ。
「言いましたよね!?覚えておいてくださいって!!なんですか!?早速忘れたんですか!?」
土「今この状況でそういうことを言うのかオメーは!!人の恩をアダで返すのか!!テメーの足叩き斬るぞ!!」
そんな言い合いをギャアギャアとする。こんな言い争いが出来るくらいにはまだ元気があるらしい。だからこそ、その残りの元気を使って土方さんを叩き潰さないことには気がすまない。
「誰がうるせぇ補佐なんですか誰が!!ていうか!土方さんが私の怒りを買いすぎなだけですよ!!」
土「あァ!?そりゃこっちの台詞だわドアホ!!こちとらいっつもいっつもテメーの喚きに剥げそうになってんだよ!!」
「そのまま剥げちゃえばいいんです!!」
土「お前が剥げろ!!円脱になれ!!」
なんていう不毛な言い争いだろうか。副長とその補佐のそんな喧嘩(?)は正に滑稽と言っていいと思う。だが、そんなことはどうでもいい。私はこの瞳孔ガン開き野郎に「お前の方がもっと剥げろ」と言ってやりたい。
「それに、死にたいなら死ね〜だとか!!無慈悲にも程があります!!」
土「…あ〜……はいはい分かった分かった」
「何ですかその言い方!!逃げましたね!!完全に戦いを放棄しましたね!!」
私がそんなことを言っている間にも、土方さんは器用に包帯を巻き付けていく。なんだよ、土方さんばっか大人みたいな感じ出しちゃって。
……でも。
「……でも、ありがとうございました、土方さん」
土「……あ?」
いきなり何だとでも言いたげな怪訝そうな目。不本意ながら、悔しいけれど私は土方さんにお礼を言わなければならない。
「……なんやかんやで、助けてくれて」
……あの時。
銃弾に貫かれていたであろう私の目の前に立ち塞がって、無機質な鉄の弾から私を護ってくれたのは、他でもないこの人。土方さんだ。
「死にてぇなら死ねばいい。俺は止めねぇよ」。そう言いながら、私の命を救ってくれたのは、貴方だった。
土「……別に助けた覚えはねぇ」
「そうですか。でも、私は勝手にそう思うことにします」
そう言って笑ってやれば、土方さんはなんだか不服そうにフン、と鼻をならした。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時