忘れたとは言わせない ページ30
「ごめんなさいごめんなさい私が悪かったです!!だからお願いします許してくださいお願いします!!」
土「……ったく…」
私が全力の謝罪を繰り出せば土方さんはギリギリと巻き付けた包帯を緩めてくれる。勘弁してほしい。足がもげるかと思ったわ。シャレにならない。
ズキズキと鋭い痛みが足から神経を伝って脳に伝達される。今だけはこの脳みそを何処かに移してしまいたいが、そんなこと出来るはずもなく、痛みに耐えながら私は右手を瞑って土方さんからの手当てを受ける。見かけによらず手先が器用なのだろうか。手際よくやってくれる。
「……っ」
土「……痛むのか」
と、痛みに顔を歪めていれば、土方さんは私の顔を窺ったらしく、そんな言葉をかけた。
「まぁ……それなりには…」
土「…そうか」
淡々と私が返すと、土方さんは丁寧な手付きを更に優しく、ゆっくりとさせた。どうやら、痛みを少しでも少なくするようにしてくれているらしい。
(……優しいんだか、優しくないんだか……)
どっちなんだ、この人は。はっきりしない。優しくなったと思ったらムカつくこと言うし、ムカつくなと思ったら優しくするし。訳が分からない。だから、そこが。
……そこが、アイツに似ているように感じた。
「……土方さんは、なんか、月と相性がいいんですね」
土「あ?」
何を訳の分からんことをとでも言うように言う土方さん。だが、私はそう思うのだから仕方ない。
「…うん、なんか、しっくり来ます」
…そう、自然と浮かんできた笑みを溢すと、少しだけ目を丸くさせた土方さんが、「なんだそりゃ」と。ま、そうなるわな。そんな会話をして、すぐに土方さんは手元に視線を戻す。その様をなんとなく見つめる。
……白んだ月に照らされる綺麗な黒髪が、夜風に揺れている。儚げに、悲しげに、でも、強く、それは輝いている。
そんな彼を見つめていれば、ふと、私はとあることを思い出す。
「…土方さん、」
土「今度はなんだよ」
「……顔面に膝蹴りくらわせていいですか」
土「いいわけねぇだろーが!!」
チッ、なんだよ。一発くらい食らえよ。そうじゃなきゃ私の気が収まらない。
土「何なんだよお前は!!人の優しさをなんだと思ってんだ!!」
「知りませんよそんなん!!忘れたとは言わせませんよ!!さっき散々私のことボロクソ言ってくれたじゃないですか!!」
うるせぇ補佐だとかなんとか。酷い言われようだった。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時