諦め ページ23
ガアアアアアン!!!
そんな、けたたましい音が聞こえた。死ぬ前というのは、やはり痛みを感じるものなのだろうか。いっそ楽に逝きたいものだが。
目をギュッと瞑って、私は私が終わるその時を待っていた。
が。
「……?」
いつまでたっても痛みも、ましてや意識が遠のいていく気配もない。ただ右足と左肩が焼けるように痛いだけだった。不思議に思い目をゆっくりと開けてみると。
「…!!」
……そこには、私が予想していたものとはかけ離れた景色があった。私はそれに痛みも忘れて目を丸くした。
土「…はぁ、っはぁ……」
……私の目の前には、刀を手に持った土方さんが肩を上下させて息切れをしながら、そこに立っていた。私より少しばかり背の高いその人は、私を庇うようにして立って、そして、私を貫くはずだった弾を、一つ残らず弾き飛ばしていた。そして、跳ね返した弾の一つが、どうやらライフル男の足に当たったらしく、ソイツは呻き声を漏らしながらうずくまった。
……頼もしくて、大きな背中が、そこにはあった。
「…ひ、じかた、さん……」
これは死ぬな、と、そう思っていた私はあまりにも間抜けすぎる声で彼の名前を呼んでいた。それほど有り得ないものだったのだ。
……あの距離から、あの速さの弾を防ぐなんて、奇跡としか言いようがないと思った。そんな状況にその場で呆然と立ち尽くしていれば。
土「……オイ」
と、なんだか怒気を含んだような低い声が聞こえた。私はそんな声に、自然と背筋を伸ばしてしまう。
……あまりにも、恐ろしい声だったものだから。
土「…テメー、諦めてやがったな」
「……は、ぁ…」
その声に、流石の私も少しばかり怯んでしまう。その背中を見つめては、そう小さく溢した。
土「……何故諦めようとした」
と、今度は本当に問いかけるかのような、そんな声で。その温度差に私はなんだか拍子抜けしてしまいそうになりながら答える。
「……護るものを護って死ぬなら、それでいいと、思いました」
こちらを振り向こうとしない背中に語りかけるように、私はそう答えた。
そう。護るべきものを護って死ぬなら本望。そう思った。私は10年前、それを護れずに生き残ってしまったから。
それに、あれを避けるのは絶対に手遅れだった。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時