折れない ページ21
土「Aーーー!!!」
……あまりの痛みに顔を歪める。土方さんが私の名前を叫ぶ声が耳に届く。鈍く輝く銀色が私に迫る。銃弾といい刀といい、本当に恐ろしいものだ。こんな無異質な鉄の塊が、人の命をかっさらう物になってしまうんだから。
……足からはおびただしい量の赤色が流れている。ドクドクと脈を打つような感覚。右足はもう殆ど使い物になりそうにない。
……でも。
「っ、うあああああっ!!!」
……こんなとこで死ぬわけにはいかない。
痛む右足に鞭を打って、地面にしっかりと足を立てる。まだだ。私はまだ立てる。まだやれる。私を殺そうと向かってくる無機質な銀色にだって負けるものか。
私へと一気に掛かってくる敵の刀を私の握る一刀で動きを止める。1対3。その上男3人、女1人という圧倒的不利の中、私は両手にありったけの力を込めて三本の刀を押さえつけた。ギシギシと刀が鳴る。お願いだからまだ折れないで。
……私もまだ、折れたりなんかしないから。
敵「いい加減諦めたらどうだお嬢さん…!!利き足はもう使えねぇだろう…!!」
「……ハッ、それは、」
どうでしょうねっ!!!!と、そう言いながら私は左足に身体の重心を取って右足を振り上げ、そのまま右から順に私の前に立ち塞がる敵を蹴り倒していく。
予想外の私の行動に目を見開かせ、情けない声を漏らしたソイツらを私は無言で斬り伏せた。
戦争時代なんかじゃ、こんな怪我は日常茶飯事だったのだ。これくらいで動けなくなるようなら私はここには存在していなかっただろう。
……右足が使えなくても、足なんて一本で十分だ。
が、
「っ……」
思いきり敵に打ち付けた右足からは更に赤色が吹き出し、床を赤く染め上げる。襲いくる痛みに息を詰まらせていれば、再び銃声が鳴り響く。そして、弾の一つは不運にも、私の左肩に命中する。
「!!」
山「Aさあああん!!!」
クソ。やっぱり10年のブランクじゃ流石に無理がありすぎたか、と、私は思わず自嘲するような渇いた笑い声を漏らしていた。左腕も、使い物になりそうにない。
敵「死ねエエエ!!」
痛みのせいか身体が思うように動いてくれない。右手も左足も、まるで使い方を忘れてしまったかのように動かない。かといって避けたりはしない。後ろに、命を投げ出してでも護らなきゃならないものがあるから。
バアアン!!
いよいよ、私を終わらせる音が聞こえてくる。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…!!このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです!!ありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです! (2017年7月5日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし!続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます!ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます!どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます!他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます!どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…!?ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…!!うわ…!なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…!!(笑)応援まで頂けるなんて…!ありがとうございます!!私もハルさんのこと応援してます!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年6月3日 21時