走れ ページ19
山「うわああああ！！」
土「山崎イイイイ！！」
ー・・ザキの叫び声、子供達の泣き叫ぶ声、土方さんの必死な声。すぐ近くでその音達は響いているはずなのに、私の耳には何処か遠くの、私とは関係のない所で響いているかのように、聞こえた。私は、まるでここではない。何処か別の場所で、その声を聞いているような感覚。
そして不意に、昔の記憶が甦る。
銃を乱射する天人。血を流しながら、私に「生きろ」と訴え必死に叫ぶ両親。そして、……それを、ただ泣きながら見てるだけの、無力な私。
……いつか、この話は土方さんにザックリと話したことがあっただろうか。
私が幼少期の頃は、天人が地球に襲来し、戦争をおっ始めた時期だった。まだ私は5歳と子供で、何の力もなくて、両親の後ろにくっつかって生きてきた。そんな時、戦争の資金を集めるため、私達家族の住む民家が狙われた。それは多分、何の理由もなく、ただ適当に見繕っただけなのだと思う。
天人達は私の家に押し入り、金目のものを奪うついでとでも言うかのように、私の母と父を銃殺した。私を庇って撃たれた両親は、泣きながら私にこう叫ぶのだ。
『A、生きてくれ』
私は泣きながら、何が出来るでもなくその場から逃げ出した。走る私の後ろでは、恐ろしいまでに大きな銃声が鳴り響いていた。
それに耳を塞ぎたくなりながらも、私は両手を懸命に振って、何度も転びそうになりながら逃げた。視界で景色がぼやけていて、ただただ必死だった。
……生きなければ。そう思って走った。
あそこで今、ザキの傍で泣きじゃくるその子供達は、本当に無力で、怯えていて、何も出来なくて。
……それはまるで、昔の私のようだった。昔の私を見ているみたいだった。
……きっと、あの子達も、生きなければならない。それを望んでいる人がいるのなら。今の私には、そういう存在であった両親がいないけれど、あの子達にはちゃんと存在している。
だからきっと、いや、絶対に。
……ここで死んでいいはずがない。そんな悲しいことは、あってはならない。
……死にたくないなら前を向け。
……護りたいものがあるなら剣を握れ。
『……君が信じる道を行けばいい』
……私の、信じる道を進めばいい。
なら、私のやるべき事はひとつだろう。
さぁ、
土「！！…A！！」
……走れ。
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ピピコ - マイさん» 天才なんてとんでもないです…！！このシリーズのヒロインは私自身もお気に入りです^^ そう言って頂けて嬉しいです！！ありがとうございます！これからも少しでもお楽しみ頂けると嬉しいです！ (2017年7月5日 22時) (
レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - ピピコさん、天才です(^○^) 場面が思い浮かべやすいし、ヒロインさんもカッコいいし！続きも楽しく読ませていただきます(o^^o) (2017年7月4日 12時) (レス) id: ce3b99b0d3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» こちらもまたありがとうございます！ミンティアさんのコメントはとっても励みになってます！どう転んで何処に着地するのか、私も全く分かりませんが、楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2017年6月19日 19時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - かなり遅れてしまいましたが続編おめでとうございます！他作品と共に此方の方も勝手に応援させて頂きます！どうやって物語が転ぶのか気になります。更新頑張ってください。 (2017年6月19日 17時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ハルさん» わ、わわ…！？ま、まさかあのハルさんからコメントを頂けるとは…！！うわ…！なんか嬉しすぎて手ぇ震えて文字打てない…！！(笑)応援まで頂けるなんて…！ありがとうございます！！私もハルさんのこと応援してます！！！ (2017年6月12日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年6月3日 21時
