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しばらくの間、Aと楽しくおしゃべりをしていると突然Aが「あっ!」と何かを思い出したかの様に声を出した。
「そういえばこの後団子屋さんへ一緒に行くんだった!」
「A…まだ食べるのかい…?食べ過ぎないようにね」
彼女の胃袋に感心しながらも、とある疑問が浮かんできた。
一緒に…ということは…もしかして…。
「ねえA、…誰かと待ち合わせでもしてるの?」
「ん?四年生の綾部喜八郎くんとだぞ」
「あ…やっぱり彼か…」
四年生の綾部喜八郎は何かとAに絡んでいる。別に仲良くするのは良いんだ…ただ…。
よく聞くんだよ、君たちがとても親しいって噂を。
まあ単にあの綾部と仲が良いってことで目立ってるんだろうけど…。
「それで、…待ち合わせの時刻は平気なの?相手を待たせたしまったら可哀想だよ」
「うむ、その点の心配は無用だ!確かあと1時間は時間があるはずだからな!」
胸を張って答えるA。
けれど、そんな彼女の背後に人影が。
「…待ち合わせは1時間後じゃなくて1時間前ですよ」
「うぎゃあああっ!きっ喜八郎くん?!」
突然現れた彼に相当驚いたのか尻もちをついてしまうA。
そんな彼女を慣れた手つきで立ち上がらせてあげる綾部。お似合いだなぁ、と心のどこかで思ってしまう自分がいて嫌になる。
僕も綾部みたいにAと…。
「善法寺先輩、僕たちは団子屋に行くんで」
「いっ痛い!喜八郎くんすまない!謝るからほっぺをつねらないでくれ!」
「っあ…」
待って、と声をかける間すら無く彼らはいってしまった。
けれど、わざわざ僕の方へ振り返って大きく手を振り「また後でな!」と伝えてきたAを見て、僕はすっかり上機嫌になってしまった。
…それにしても綾部の視線が怖いなぁ…。
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作者名:ひいろ | 作成日時:2017年3月29日 8時