【爆豪勝己】君の『聲』が聴こえるまで 2 (ページ10)

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【トータル105、スタートレベル12】

スピーカーから流れる無機質なドイツ語音階とアナウンスに合わせて、訓練場で基礎体力測定を行う子供たちの姿を、俺は上階の窓から見下ろしていた。

依織(イオリ)、那由多(ナユタ)、和葉(カズハ)が死んで12年、祐太(ユウタ)が死んで13年が経ち、『lycanthrope』は大きく変わった。

6人………いや、5人で活動していた俺たちだったが、依織(イオリ)たち3人が死んでからは定期的に新しい隊員が加わるようになった。

相変わらず任務で死人は出ているものの、今では1万人規模の組織へと成長していった。

人数も増えたことで新しいクラスも増え、俺たちのような特殊部隊は『暗殺者(アサシン)』と呼ばれるようになった。

俺たち第一世代と比べて、新規で加わる第二世代以降の『暗殺者(アサシン)』はさらに厳しい基礎体力測定と『個性改造試験』を受けていることもあり、最年長である俺よりも後輩の方が優れていることも稀ではなくなった。

「＿＿＿＿今日も任務遂行お疲れ様。無事に帰ってきて何よりだ」

いつもと変わらない定型文を言う司令官に、俺は跪いて頭を下げた。

「最近、明日花くんの調子はどうかい」

「明日花は、その………」

司令官の質問に俺はどう答えていいのか分からず、口を噤んでしまった。

隊員が増え、個々が実力を持つようになってからは単独任務が増えるようになったため、同期である明日花でさえも会う機会が少なくなってしまったからだ。

「…………答えられないのなら、無理に答えなくていい。ただ気分で聞いてみただけだ。

それよりも、君に見せたいものがあるんだ。ついてきなさい」

そう言って彼は背中を向けて歩き始めたので、俺は慌てて後を追った。

「君の生まれ持った『個性』は、他では見ない珍しいものであると同時に、とても貴重だ。

君の月に1回の血液採取から遺伝子情報を抽出し、何人かの子供たちに試してみた(・・・・・)んだ」

普段笑わない司令官が口角を上げたのを見て、嫌な予感がした。

「＿＿＿＿＿＿湊(ミナト)くんと、それと明日花くんの遺伝子から作られた子だ。

今日から『暗殺者(アサシン)A部隊』で活動することになった。面倒見てやってくれ」