【爆豪勝己】君の『聲』が聴こえるまで 2 (ページ20)

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ばいばいページ20

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俺の顔を覗き込むようにしゃがんだ司令官の腕には、目を閉じたままのAがいた。

華奢な身体がボロボロになって見えるのは、土埃で汚れただけなのか、あるいは皮膚が抉れているからなのかが分からなかった。

「もう一度聞くね。君には、Aを救う覚悟があるかい？」

返り血で汚れた顔に浮かんだ優しい笑顔を見てゾッとした。

俺は意識を失ったAの手に、壊れ物を扱うかのようにそっと自分の手を重ねた。

「……俺がどうなろうと構わない。俺の身体なら好きなだけ弄ってもらってもいい。

＿＿＿＿＿＿Aを、救わせてくれ」

そう言うと司令官は、待ってましたと言わんばかりに頷いた。

そして彼は立ち上がり、いつの間にか現場にたどり着いて事件の痕跡を無くす作業に取り掛かる『処理班(ディスポーザー)』に、声を張り上げた。

「作業は夜明けまでに完了しろ。助かる見込みのない隊員は瓦礫と共に『個性』で『塵化』だ。
あとはいつも通り、迅速でかつ丁寧な仕事を期待しているよ」

「「「「「「はっ！」」」」」」

「私の個性で『瞬間移動』をする。爆豪くん、私の肩に触れておきなさい」

防護服を着て、テキパキと重そうな瓦礫を『個性』で片手で塵にしていく隊員の姿を見ていると、司令官に声を掛けられた。

慌てて肩に触れたが、どうしてもその作業(・・)が気になって後ろを振り返った。

多くの『処理班(ディスポーザー)』が散らばって作業をしている中、一部だけ複数で集まっているところがあった。

その中心にはカラス男(あいつ)がいて、一瞬互いの目が合った。

すぐに俺に気づいた彼は、「Aのこと、頼んだぞ」と言って、俺に手のない腕(・・・・・)を振って笑った。

手を振り返そうか迷っていると、彼の身体は瞬きのうちに『塵』になり、暗い夜空に溶けていった。