【爆豪勝己】君の『聲』が聴こえるまで 2 (ページ15)

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【………アンタ、そんなに私に殺されたいの？】

呆れたような表情を見せる彼女に、私は数本のクナイを叩き込む。

しかし、それらは虚しく全て避けられてしまった。

「貴女は私と戦いたいだけなのではないんですか？」

【私はただ快楽を求めているだけ。雑魚もいいけど物足りないから、私はアンタを選んだのよ】

私という存在の基礎(ベース)となった彼女は、かつては『暗殺者(アサシン)』の副隊長として、隊長だった63148と活動しており、仲間思いで感情豊かな人だったらしい。

けれど、過酷な現場での任務に心を病ませた彼女は、司令官に指示され、『個性』を人に譲渡できる技術の開発のために身体を利用された。

さらに、彼女の生まれ持った『個性: 瞬間移動』は、『lycanthrope』の新しいクラス『送信者(トランスミッター)』をつくるため、研究者に好き放題弄られた。

452日間にもわたる人体実験の結果、技術開発の面では大成功を納めたものの、彼女の心身は共に破壊された。

彼女を誰よりも大切に想っていた63148は、彼女の変わり果てた姿を見たら、我々の思いもしないような形で復讐劇を始めるだろう。

そう思った司令官は、彼に嘘をつき、『私』で空席だった『暗殺者(アサシン)』の幹部の座を埋めると同時に、穴のあいた彼の心を埋めようとした。

【さぁ、私を愉しませて頂戴！！】

人体実験で人工的に増やされた『個性』が、全て彼女の身体に合うものとは限らない。

中には、無意識のうちに体内の細胞を少しずつ傷つけていくような危険なものもあるだろう。

「…………ふぅ、」

肺に溜まった息を吐き出し、私は目を閉じた。

「" 荒けた神喰らふは千の意思と万の生きし

御霊と一片の祈り、在り処失いし魂を掬い給え "」

目を開き、刀を握りしめ、静かに召した。

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「＿＿＿＿＿＿＿＿出でよ、『死神』」