九話 ページ9
「…………」
「…………」
「…………」
＿＿＿＿＿つまらない………。
なんとなく想像ついていたけど、やっぱり耐えきれない！
他の家族は楽しそうに食べてるのに、ここだけおかしい。なんか恥ずかしい。
意を決して何か話題でもふってみようか………
「と、父さん。オレ今日学校でテスト100点だった」
「……ん、ああ……そうか、すごいなぁそれは」
「そうねぇ………、ほんとね………」
「…………。なぁ、今日本当になんなんだよ！美優が病気ってどうゆうことだよ、もっとさぁわかりやすく言えって！」
「……」
少し声をあらげて訴えると、父さんも母さんもお互いに目で会話して、こちらに向き直るとゆっくり口を開いた。
「……あのね、美優はね……あと少ししか生きられないの。今日、倒れたのよあの子。それで病院に行ったら……ALS……筋萎縮性側索硬化症って……」
「きんいしゅく……え？なんだよそれ…」
「いい治療法のない難病でな…つまりだな、治せない病気みたいなものだ。……一年も生きていられるかどうか…」
絶句した。治せない病気って、そをなものあるはずか。
じゃあ何でお医者さんはいるんだよ？？何でも治せるって、前に風邪引いたとき言ってくれたじゃんか。
「あと少ししか……生きられない？？」
「この事はね、あの子には伝えたくないのよ。だから、あなたも言わないであげて。きっと苦しむだけだもの…」
「お前も、兄ちゃんとしてできるだけ側にいてやってくれ。きっと喜ぶからな」
悲しげに微笑んだ母さんだが、少しの沈黙の後、テーブルに伏せて泣き出してしまった。それを見て寄り添うように母さんを抱き締める父さん。
この光景が、今でも深く瞼に焼き付いて、離れてはくれない＿＿＿＿。
妹が、病気になった。
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作者名：京香 | 作成日時：2018年10月10日 18時
