それがわたしの存在理由 ページ3
部屋の中央に設置された、豪奢な寝台に躰を投げ出す。
異能を使用した後は、起き上がれなくなる程の体力を消耗するのだ。
ドクターが分析するに、「生命力を使用しているのだろう」との事。
それが判った処で疲労は治まらないのだからどうだっていいさ、と微睡みに従った。
しかし、突如耳に入ったインターホンの音で、わたしの意識は無理矢理に引き戻される。
「んん……?誰、全く……って、うわ」
液晶に映し出された人物の顔を見て、眉間に皺が寄るのを感じた。
放置すればインターホンを連打されて安眠が遠のく事は理解しているので、此処はさっさと帰って貰おう。
「やぁ、わたしは居留守を使っているから帰ってくれないかな──中也」
≪ハッ、随分疲れた声じゃねえか。善いからさっさと開けろオラ≫
最新セキュリティの扉が蹴り破られては敵わない。部屋に招き入れたのは不可抗力であった。
中也は「また蘇生してたんか」と用意した椅子に腰掛ける。確か彼は珈琲より紅茶だった筈だ。
「“特級医師”の手前を追い出す権限は俺にゃ無ェが……手前が抜けた後にマフィアがどれだけの混乱に陥ったか、俺は忘れてねえぞ」
「わたしの責任じゃないね。情報統制を怠ったドクターの所為さ」
「……チッ」
わたしの異能力──“命売ります”は、死んだ人間を蘇生させる。
無論幾つか条件はあるし、ぶっ倒れるまで長距離走をしたような疲労感は生まれるが、それだけだ。デメリットよりメリットが圧倒的に大きい。
神の領域へ易々と足を踏み入れる能力。
故に、死者の蘇生──それがわたしの存在理由だ。
36人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夕野きする | 作者ホームページ:http://http://commu.nosv.org/p/asubook/
作成日時:2019年2月23日 15時