○ ページ33
「覚悟はできていますね…バーン、ガゼル？」
「…あぁ」
父さんの前に二人が跪く。俺は少し離れて、ただそれを見つめていた。
ちらりと隣を見る。Aの頬には赤い傷が浮かんでいた。大した怪我じゃないけど、俺が負わせたことに変わりはない。
「…ごめんね。痛くない？」
「……大丈夫」
此方に目は向けてくれない。鋭い目付きで、父さんを睨んでいる。…今まで見たことが無かった。こんな表情で父さんを見る彼女は。
「A。お前もグランの邪魔をしたようだが…どういうつもりですか？」
「…父さん、は…二人を、怪我させることを言った。そんなの、させない。晴矢と風介は、大切な人だから」
「ずっと面倒を見てもらっていたグランにまで反抗するとは。…これでも彼女をここに残したいのですか、グラン？」
急な質問に戸惑う。答えは勿論、はいに決まっているけど…父さんの威圧的な目に唇を噛んだ。
「どうして彼女をここに残したいんだ」
「…俺には、Aが必要なんだ」
「私の計画には必要ないのですよ。言ったはずです、邪魔になるようならば…」
「邪魔なんかじゃないよっ！！」
俺は考える前に叫んでいた。父さんは言葉の続きを言わないで、口を閉じてしまう。
視線を動かすと、バーンが此方を見て拳を握りしめていた。思わず目を逸らす。
「…お前、今更何言ってんだよ」
「っ…」
「突き放してたのはお前の方だろ。なのに今になって…ふざけるなっ！」
バーンの言葉に、俺は何も言えなくなる。目線の行き場を失って、必然的に下を向いた。
視界の端に、Aの細い脚が映っている。
「グランを責める場所ではない。お前達が私への反乱を起こしたのが原因だ。…罰は受けて貰わなけければならない」
「父さん、やめて」
彼女の脚が動いて、視界から消える。追いかけるように顔を上げると、Aは父さんとバーン達の間に入った。
その瞬間、あの時の記憶が蘇る。
＿＿父さんの為なら…私、頑張ってみるよ。
俺の手が震え出す。駄目だ、父さんに近付かないで。
「二人は、傷付けないで…」
「いいんだ、A。私達は大丈夫、だから…」
「…役に立たないだけでなく、私の計画の邪魔までするか。…だからお前は」
＿＿失敗作の、除け者なのだ。
その言葉は、俺の頭を真っ白にした。
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柑橘系 - すごく面白いです！これからも更新頑張ってください！！///>∀</// (2017年2月20日 19時) (
レス) id: 04654b2bed (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - アヤさん» コメントありがとうございます(^^)色々な作品を読んで、いつかこんな素敵な文章をかけるようになれたらと思っていたのですが、自分も少しは近づいているのでしょうか笑(°▽°)更新、頑張ります！ (2016年12月21日 20時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - この物語、すごく面白いです!文の書き方もとても魅力的で引き込まれてしまいます！他の方の作品と視点が違っていたり、内容がしっかりしていて、とにかく面白いです!更新頑張ってください！ (2016年12月20日 22時) (レス) id: 91f9d48bbf (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 白羅さん» すごい初歩的な間違い…！！すみません、報告ありがとうございますm(__)m修正させていただきました。 (2016年11月21日 10時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
白羅(プロフ) - バーンの本名の漢字間違ってますよ〜、『春矢』ではなく『晴矢』ですよ〜 (2016年11月21日 10時) (レス) id: 4053be4a89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2016年11月3日 17時
