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「お客さん、もうすぐ鳥矢水門です」


運転手さんの言葉で、顔を前に向ける。
前方に大きな水門が見えた。

間違いなく、鳥矢水門だ。

ちらっと腕時計を見ると、杯戸港を出発してから十五分しか経っていない。

それを確認した私は運転手さんに言う。


『そこの踏切を越した所で降ろしてください』

「鳥矢水門まででは?」

『えぇ。でもそこで大丈夫です』

「分かりました」


水門近くの踏切を越した所で降ろしてもらう。
乗車料を払うと、会釈をして運転手さんはタクシーを走らせた。

完全に見えなくなるまで見送った後、私は近くの電柱の陰に隠れる。

その直後、カンカンカンと特有の音を鳴らす踏切。
すぐそこの駅で電車が止まっている為、遮断機が上がるまで時間がかかる。


暫く待っていると、ある人達がやって来た。
その人達は踏切ギリギリの所まで行くと、また何かを探し始める。

そう、杯戸港で見かけたあの三人だ。

(あぁ。やっぱりそうね)

今度は距離が近い為、顔を確認できた。






(小一の新一君と蘭ちゃん。それに阿笠博士)

何故この三人なのか。

それは、私の任務が彼らを危険から守ることだからだ。
その為に杯戸港から後をつけて来た。

あ、一応言っておくけどこれはストーカーじゃないから。

決してそんな趣味はない。・・・と思う。

(まぁ、子供は可愛いとは思うけど・・・ん?)



・・・何かいる。
探し物をする彼らの後方に。

私と同じく電柱に身を隠し、新一君達三人をじっと見つめる影が。
更に、ソイツの手にはキラリと光るナイフのような物が握られていて・・・


(ッ!まさか!!)


そう思った矢先。

電柱に潜んでいたソイツが、彼らに向かって飛び出して行く。
手に鋭利なナイフを持って。

彼らは気づいていない。
探し物に夢中なのと、踏切の音とでまったくと言っていい程。


『ここでくるなんて、聞いてないわよッ!フィズ!』


言い捨てた私も反対側の電柱から飛び出す。
その声でやっと気づいた彼ら。

しかし、ソイツはもうすぐそこまで来ていた。

たとえ名探偵と言われようとも新一君はまだ子供。
見た目も中身も子供の今じゃ、大人の男には敵わない。


阿「二人とも、下がるんだ!!」

新「博士ッ!」

蘭「いやああ!」


阿笠博士が二人の前に立ち、守ろうとする。
蘭ちゃんは座り込んで震えており、新一君も恐怖で動けないようだ。

そんな三人などお構いなしに、男はナイフを振り上げる。



『させない!!』


私は彼らの間に入った。

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宵宮月 - 桜月さん» ですよね!子供、特に小1の新一君と蘭ちゃんとか可愛すぎてもう...。忙しくて中々更新出来ませんが、頑張ります! (2018年6月3日 22時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)
桜月 - 十年前…小一…ショタ!(*´ω`*) 子供最高。頑張ってください! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 54541a3b44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宵宮月 | 作成日時:2018年5月6日 21時

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