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ファイル16 ページ19

貴女side


――コツコツコツ


『ふぅ…ここまで来れば大丈夫よね?』


あの建物から上手く逃げ出した後、今は人通りの少ない裏路地を歩いている。

鞄の中から携帯を出し、萩原さんを救えたことを報告するため電話をかけた。


(果たして、電話には出るのかな?)

暫くコール音が続き、何回目かでやっと繋がった。



神「あ〜…何じゃ?」

『あ、出た。私よ、玲。終わったから報告するわ』

神「おぉ!さすが、仕事が早いな。玲ならやってくれると思ってたぞ」

『期待に答えられて光栄だわ…でも、目を付けられたかもね』


それに関しては問題ないと神様は言った。
何でも、変装したから大丈夫だろうとのことだ。

そんな神様の当てにならない自信をスルーし、ずっと気になっていたことを聞くことにした。


『ところで、神様って名前ないの?さすがに人前で神様なんて呼べないんだけど』

神「…ないな。何なら玲が付けてはくれぬか」

『私が?まぁいいけど』

(どうせならこの世界と関連づけたいわね…)


何か良い名はないかと、思考を捻らせる。
ふと目の前にレトロを思わせるバーがあることに気づいた。

そのバーを暫く見つめた後、不意に頭に浮かんだ名があった。


(よし、決めた。きっと神様も驚くわね)

『フィズ。何てどう?』

神「フィズ…?カクテルのか?」

『そう。ラモスジンフィズから取ったわ』


そう言うと電話越しに何か考えている神様。気に入らなかったのか。不安になりながらも返事を待つ。


神「ほんとに良いのか?我がこの名を貰っても」

『クス、今更何言ってるのよ。私の気持ちなんだから、受け取ってよね』

神「そうか…ありがとな、玲」

『どう致しまして。これからもよろしく、フィズ?』

フ「あぁ、よろしく頼む」


二人で笑合った後、それじゃと言って電話を切る。

携帯を鞄にしまい、周りに人がいないことを確認してから己の顔に手を添え、マスクを剥ぎ取った。

本来の長い黒髪がふわりと舞う。
その場に立ち止まり、カラコンも外す。

服は持ってきていないので、裏路地を通りながら自分の家へと帰ることにした。


(第一のミッションは完了ね。次は多分4年後だから、気長に待つとしようかな)


やり終えた達成感と共に、我が家へ向かうのだった。






――これから更なる壁が待ち受けているなんて、この時の私は知る由もなかった。






---------------------

ラモスジンフィズ=感謝

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宵宮月 - 水縹さん» ありがとうございます。取り敢えず、勧めてくださったお姉様と、ハマってくださった水縹様に感謝です!あ、どうでもいい話ですが、姉がいるっていいですね。うらやましいぃ(( (2018年3月29日 17時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)
水縹 - 姉に勧められて読んだのですが…ハマりました。完全に。もう、面白くて好きです!ほんと好きです!頑張ってください。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: 82e8451007 (このIDを非表示/違反報告)
宵宮月 - ゆきさん» 設定がツボとは...ありがとうございます!私もです← こうだったら良いなぁと思うものを詰め込んだら、こんな設定になりました(笑)更新は遅いですが、気長に待っていただけると幸いです。 (2018年3月11日 22時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初コメ失礼します!夢主の設定が凄いツボです!あと、面白くて好きです!ありがとうございます!! (2018年3月10日 1時) (レス) id: 7e2effa0f0 (このIDを非表示/違反報告)
宵宮月 - aboutさん» ありがとうございます!そう言ってくれる貴方の方が神だよ...嬉しすぎて顔ニヤける((タメですみません; (2018年2月22日 20時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宵宮月 | 作成日時:2017年8月6日 17時

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