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「A!焦げてる!」
「んぇっ?」
「め!だ!ま!や!き!」
「あっ!ごめん!」
「大丈夫?ぼーっとしてたけど。」
「うん。大丈夫だよ?こんな時もあるって。」
「そっかぁ」
二人でお皿を出して、サラダを盛り付けて、向かい合って座る。
「「いただきます!」」
時計を見れば短針は9を、長針は2と3の間を指していた。
テレビをつければニュース番組が流れていた。
「また不倫だって」
「嫌な世の中だね」
こうちゃんに限ってそれは無い。
不倫と聴いて脳内に浮かんだのはそんな言葉だった。
全くこれだから恋する乙女なんかにはなりたくなかったんだ。
青春を過ごす中高生ならまだしも、社会人になって被害妄想の止まらない恋なんてしたくない。身を滅ぼす恋なんて馬鹿げてるだろう。
妄想して、傷ついて、面倒臭い女だな。
「不倫する気持ちってなんなんだろうね。」
「そんなん分かるわけないでしょ。」
「おっ、言い切るじゃん。」
「だって俺一途だし。」
「「……」」
こうちゃんの顔は真剣な顔から徐々に赤く染まっていく。
「なんで自分で言って照れてるの。」
「Aだって照れてるじゃん!」
「はぁ?こうちゃんほど照れてないですぅ!」
「嘘!顔真っ赤じゃん!」
「こうちゃんも!」
「「……」」
「……ッハ」
「アッハッハッハッハッ」
食べてる手を止めてまで大笑いされた。
「そんな笑う!?!?」
「いや、だって、さっきまで凄い悲しい顔してたのに、急にムキになって照れるから、」
「え、そんな悲しい顔してた?」
「うん」
「……そっか」
ダメだな。
こうちゃんが笑顔で優しくしてくれてるのに、朝から気分が上がらない。
そんな日もある。といつもなら落ち着けるのに今日はまるで脳が思い通りに考えをしてくれない。
自覚があれど自身で完璧に制限しきれない幼さだろう。
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ぶっく。(プロフ) - どの作品も本当に素敵で、すべての話で心を動かされました!文章がとても綺麗……!最高の7名がそれぞれちがう時間を軸にした物語を展開されていて、本当にそれぞれちがう良さがありました。読んでいてとてもとても楽しかったです!ありがとうございました! (2020年4月8日 4時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 神作者の皆様、執筆お疲れ様でした!どれもこれも素敵な作品で、一つ更新される度に胸を躍らせていました。本当に素晴らしい作品を有難う御座いました…!! (2020年4月8日 0時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
還元(プロフ) - いろさん» 読んでいただきありがとうございます。この後もまだまだ素晴らしい作品が続きますので、どうぞ最後までお付き合いください!コメントもありがとうございました! (2020年4月4日 1時) (レス) id: 0ea79b5d61 (このIDを非表示/違反報告)
はるむにに(プロフ) - 神々の集まりですね、、本当すごいです(語彙力)次のお話も楽しみにしております! (2020年4月1日 22時) (レス) id: 33dd96b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - なんと…凄い神々が集まって作品をお造りになられたのですね、一話目から凄かったです。皆さんの見れるなんて…最高です。ありがとうございます。 (2020年4月1日 20時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:830 x他5人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月29日 15時