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私はフェリドの事をどう思ってる?
そんなもの簡単には答えが出る筈もなく、早々に考えを放棄してしまった。
それよりも目の前に居る半裸の吸血鬼がどうすれば離れてくれるのだろうかと考えるのが先決だった。
「ねぇ、フェリド」
「なんだい」
「この話、また今度でいいかしら?」
「…………」
「ちょっと疲れたわ…」
嘘じゃない。
こうやって誰かから感情を向けられることが重圧に感じるのは確かだ。
「…わかったよ。Aちゃんが僕にキスしてくれたら今日は許してあげる」
「どっちが主人なのよこれ…」
「もちろんAちゃんさ!」
今までフェリドから一方的なものはあっても、Aからフェリドを求めることは無かった。
小さく息を吐いて、覚悟を決める。
「早く」と楽しげに、色っぽく急かす声。
今は動かないはずの心臓が少し脈打つ気がした。
ただ、重ねるだけの唇。
ほんの数秒重ねて離そうとしたのだが、フェリドがそれだけで許す筈もなく、しつこくゆっくりと絡め取っていく。
ただフェリドからの重い愛を受けながら、拒めるほどの力を持っていてもそれを行使しない自分が居ることに気づかないふりをした。
あっという間に壁とフェリドの間に閉じ込められ、体を抱き締めるように拘束されたが、やはり抵抗はしない。
妙に優しく包み込む腕が心地よく感じてしまうのだ。
大人しくこの刹那に酔ってしまおうと、フェリドに身を委ね、目を閉じた。
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なな - 更新頑張ってください!フエリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます!力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです!立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています! (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月18日 13時