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「珍しいね、フェリド君が伸びてるの見られるなんて」
「…クローリーくん黙ってよ。今、Aちゃんの太腿を堪能してるんだから忙しい。邪魔しないで」
それぞれ好きな血を飲んできたのであろうクローリーたちが独特の香りを漂わせて戻るとフェリドの体がその鉄の香りに反応する。
血が欲しい。
血が欲しい。
だが、そう望んだ所で自身を拘束している彼女が許すはずもない。
仕方なくこれだけで我慢だと太腿を厭らしい手つきで撫でた。
それに背筋が粟立ったAはフェリドの上で酷くびくついたが、負けじと太腿に這わされた手を叩き落とした。
その一部始終を見せられて、クローリーは変なものを見せられたと言わんばかりに顔を歪める。
何とも言えない表情だ。
「巻き込んでごめんなさいね。もう帰って良いわよ。お兄様にはあなたたちは悪くないと弁解できる機会があれば弁解しておいてあげるわ。可哀想だもの」
だがしかし、彼女は兄であるウルド・ギールスとは折り合いが悪かったのではなかろうか。
少なくとも、クローリーの目にはそう映っている。
したがってこの約束は果たされるか微妙な所だ。
「んーAちゃん…渇いたよぉ」
「もう少し飢えてなさい」
「えぇ…」
「クローリーたちはもう名古屋へ帰りなさい。じゃないとまた変態に遊ばれるわよ」
そもそもここに来た意味とは何だったのだろうか。
クローリーを呼びつけたのはAの下に居るフェリドだ。
これもいつもの気まぐれなお遊びなのだろうか。
「ちょっと、Aちゃん。そんなに僕と一緒に過ごしたいの」
「うるさいわね」
「うぐ……クローリーくんは必要だから帰らせちゃダメだよ」
結局、全てがフェリドの思い通りになってしまうと悟ったAはため息をつく。
フェリドの計画の一部ということは果たして自身に利があるのか。正直怪しい。
唆され、全てを洗いざらい喋ってしまった自身の誘惑に対する弱さに多少の後悔をしながらAはとりあえずとフェリドの言葉に耳を傾けた。
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なな - 更新頑張ってください!フエリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます!力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです!立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています! (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月18日 13時