吸血鬼と飼い主2

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フェリドはクローゼットから取り出したAの替えの服と自分の服を腕に引っかけて彼女の部屋へと急いだ。


これ以上彼女を怒らせては大変だ。




「お待たせ。新しい服、用意したからこれ」

「ん、その辺に置いておいてくれるかしら」




部屋の奥に居るのだろうか、姿は見えないが声だけが聞こえてくる。


彼女の言うその辺とはどこのことだろう。


そう考えつつも、服を置くふりをしながら部屋の奥…間取り的にはお風呂場や脱衣場に当たる部分に足を進めた。


ちょっとした好奇心からだ。


部屋の奥にあるドアの先から布が擦れる音が聞こえる。
ドアの近くで待っていたら面白いことでも起きるかもしれない。


その間に自分も着替えてしまおう、そう考えた彼はいそいそとマントを外し始めた。






フェリドが少し前から部屋にいることは分かっていた。
要件はわかりきっていたし、大して部屋で待つほどの事でもない筈なのに彼の気配はずっと部屋の中だ。


手早くバスローブを着込み、血で汚れたドレスワンピースを洗ってみたが思うようにシミが落ちきることはなく、一点の穢れのないはずの白を汚したまま。


このドレスを与えた張本人はあまり気にしないだろう。


だが高価なものを安易に捨ててしまうというのははばかられた。
試しに水に浸けてみたものの、それはあまり上手くいかなかったようだ。


フェリドもまだ待っているようだし、このまま彼に相談してみよう。


そう思ってドアを開けた。




「…………あ、あは〜」

「………。」

「あ、待って!!」




部屋には半裸の変態が居た。
思わずドアを閉めた。


ドアをとっさに掴んだのか、細く長い指が挟まっている。

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