16.変態に脅されてます！ ページ15
「これがフェリドくんの手伝い…？なんかすごい退屈なんだけど」
「もークローリー様ぁ！帰りましょうよ！上位始祖相手にだなんて危ないですぅ。んもう…フェリド様が勝手にひとりでやればいいんですよそんなの！」
ひどく憤慨している様子のチェスが吠える。
それを宥めながらも同意見だというホーンも同調した。
フェリドに半ば押し出されるようにして部屋から出されてしまったクローリー含む三人の吸血鬼は見張り役を強引に押し付けられ、その役目を果たしている最中であった。
部屋の中に居るフェリドが何を企てているのかすらまともに聞かされていないものの、吸血鬼になってから長きに渡り共に過ごしてきた彼にはこういった事は馴れている。
「しかし、クローリー様。上位始祖様がこちらにいらっしゃった場合、どうされるおつもりですか」
「力ずくで来られると困るけど、話は通じるだろうからそれに賭けるしか無さそうだなぁ」
「危ないじゃないですかぁー！？」
「んーそうだね。フェリドくん何考えてるんだろう…」
明らかに力が足りてない者を見張りに立たせる意味はあるのだろうか。
一方その頃、クローリー達を部屋から追い出したフェリドはAに飛び掛かっていた。
血の著しい欠乏により、動けない体のままソファに寝そべっていたAは驚きですっとんきょうな声を上げる。
もちろん、逃げられる訳はなく体に馬乗りになるようにして体の上でけたけたと笑う変態に怒りが沸く。
「殺すわよ」
「わーこわぁい」
「………」
「そんなに睨まないでよーあは」
いつものように道化を演じるフェリドはあくまでもこの体制のまま続けるつもりでいるらしく、それを察したAは大きな音を立てて舌打ちをした。
そもそもウルドとのひと悶着で虫の居どころが悪く、フェリドがちょっかいをかければかけるだけ機嫌の悪さが酷くなっていくのだ。
Aはフェリドから顔を背け、これ以上はまともに取り合わない姿勢を示す。
フェリドの手のひらで大人しく転がるなどまっぴら御免である。
「あーあー、そんなことしていいのかなぁー？」
安い挑発の言葉と同時に香った鉄の香りにせりあがる呪われた衝動。
ぽたり、ぽたりと近くで雫が落ちる音がする。
その音を立てているものが"何か"など、愚問だ。
今、最も身体が欲しているものである。
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なな - 更新頑張ってください！フｴリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (
レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます！力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします！ (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです！立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています！ (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月18日 13時
