検索窓
今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:19,997 hit

15 ページ14

足音の正体は二人の青年姿をした上位始祖だった。


彼らは端に寄るクローリーたちに目もくれず会話を続けている。




「フェリド・バートリーを処分する。あいつはAの側に置くに相応しくない」

「ウルド様の言い分はわかりますけど、まずはAの説得からですからね。順番間違えると大変なことになるんで…」

「わかっている」

「なら、いいですけどー。俺はフェリドが死のうが別にどうでも良いので」




彼らの会話を聞くに、到着早々に上位始祖の機嫌を損ねた者がいるという噂は本当だったらしい。


その犯人の名を彼らはわざわざクローリーたちの前を通りすぎる際に口にした。


フェリド・バートリーと。


その瞬間、クローリーたちの嫌な予感は見事的中したことになる。









急ぎ、その犯人の屋敷に戻ると、彼はいつものように飄々とした態度でクローリーたちを出迎えた。


その横にはぐったりとしたAが上質なソファへ横たわっているのが見える。




「フェリドくん、今度は上位始祖相手に何しようとしてるんだい」

「僕じゃないよぉ。Aちゃんが、だよ?ねーご主人様」

「うるさい、体揺らさないで」




普段よりも幾分か顔色の悪いAは体を起こす気もないのか、そのままの体勢でフェリドの手をはねのけた。




「吸った分の血を返しなさいよ」

「えーやだよ。Aちゃんがいいって言ったんじゃないか」

「体が動かないわ」

「しおらしいAちゃんも好きだからね。僕がやさしーく手取り足取りお世話してあげるから心配しないで」

「あまり調子に乗ると殺すわよ」

「わー怖い」




フェリドがまともに取り合う気がないと直感したAは顔を背けて黙り込むと瞳を閉じる。


恐らくギリギリ身体が活動できるか否かといった具合にしか体内に血液が残っていないのだろう。


血を飲めばある程度回復はするが、彼女はそれすらも気だるげに拒否するかのように闇に体を委ねている。


多少の誤魔化しはそれで利くだろうがあまり長くは持たない。



「フェリドくん何してるんだい…僕に用事ないなら帰るけど」

「あー待って待って。君たちに手伝ってもらいことがあって!」

「嫌な予感がする」

「やだなぁ、そう言いながらもクローリーくんは二つ返事で受けてくれるって知ってるんだぞ」




やけに深い笑顔を浮かべるフェリドがとんでもないことをしようとしているのは簡単に想像がついた。


俗にいう悪巧みというやつだ。

16.変態に脅されてます!→←15



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
132人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なな - 更新頑張ってください!フエリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます!力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです!立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています! (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月18日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。