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クローリーたちは何となしにサングィネムの街を歩きながら、少し普段とは違う吸血鬼たちの様子に目を丸くする。


無欲で協調性に欠く吸血鬼たちがせかせかと仕事をして回っているのだ。


ゆっくり歩いているのはクローリー、チェス、ホーンの三人だけで他の吸血鬼は多忙を極めているかの如くである。
ホーンが訝しむように眉根を寄せた。



「一体なにがあったのでしょうか…」

「フェリドくんの呼び出しに関係あるのかなぁ」

「適当な子を捕まえて聞いてきますぅ!」

「ほどほどにね。チェス」

「はぁーい!」



チェスが駆け出したのを見送りながら、クローリーはホーンへ意見を求めた。
だが返事は釈然としない。



「フェリド様のお考えはよくわかりません…」

「そうだね。…お、戻ってきた」

「クローリー様ぁ〜上位始祖様の訪問中とかで忙しそうにしてるみたいですよぉ?」



チェスの聞いた話によると上位始祖の中でもトップに君臨する第二位始祖が第五位始祖を連れてロシアからやって来ているらしい。


珍しいこともあるものだと思ったが、彼らがわざわざ海を越えて来るなどどういった風の吹き回しなのだろう。


しかも、到着早々に誰かが粗相をしでかしたか、非礼に値することをしでかしたかで第二位始祖の機嫌の悪さが酷いらしい。


機嫌の悪い上位始祖など、貴族でもあまり関わりたくない相手だろうに一般の下級の吸血鬼なら尚更だ。


それで彼の逆鱗に触れないよう、普段は休み休みやる仕事をてきぱきとこなしているのであろう。



やがて王の間が近づくとやけに吸血鬼の数が少ない場所へ差し掛かった。


何となく嫌な予感が働いたのはクローリーだけではなかったようだ。
チェスやホーンの瞳を見ると少したよりなさげに揺れている。



「クローリー様…」

「うん、この先に上位始祖たちが居るだろうね」



広く、小さな物音ですら響き渡る街の作りに少しだけこのときばかりは不便さを覚えた。


きっと上位始祖たちも気配に気づいている事だろう。
かつかつと靴底で床を打つ音の聞こえが良くなった。
男の話声もする。


クローリーが二人に目配せをすると、彼女たちは素早く道の端に寄り上位始祖と登場に備えた。
クローリーもそれに習う。


なるだけ目立つことはしたくない。
表向きは十三位とされているクローリーは貴族の中でも二桁台の比較的下位に位置する。


実力が七位と言えど、同位のフェリドにすらかなわないのだ。目を付けられるような事は避けたい。

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なな - 更新頑張ってください!フエリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます!力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします! (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです!立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています! (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月18日 13時

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