13. 血に、キスに、酔う ページ2
「フェリド・バートリー！出てきなさい！！」
怒鳴ってもどうせ楽しそうにされるのは今に始まったことではないが、さすがに今回のイタズラは可愛いイタズラの域を越えていた。
思わずこめかみに手を当てた。
これが日常となるといい加減に疲れてくる。この日は珍しいことに器に注がれた状態でフェリドの血を与えられた。
だが、そこに人間の血を混ぜられていたようで口に入れた瞬間体が拒否し、戻してしまった。
お陰で真っ白なドレスは血の赤を吸い、戦闘の後のような大惨事といった有り様だ。
どうなるかと近くで控えていたのだろう犯人である彼は、Aの声を聞くや否やすぐさま現れた。
「僕を呼んでくれたかい！Aちゃん！」
「私の飲む血に、卑しい家畜の血を混ぜたな」
「えっ、たった一滴垂らしただけなのにどうしてわかったの！？」
「……さぁ？」
「あ、やば」
地を這うようなAの低い声に危機を感じた時にはもう床に押し倒されていた。
三位と七位、力量の差は歴然としているのが当たり前なのにも関わらず、のんびりと二人で生活しているからか、つい頭から抜け落ちてしまうのだ。
ズキズキと痛む後頭部。
まともに床に打ち付けたせいで脳震盪を起こしたみたいだがそれも吸血鬼の恐ろしいほどの回復力ですぐさま痛みもめまいも消えていく。
「ごめんね、出来心だったんだ。もう君の飲む血にイタズラはしないよ。…それよりも服、汚れちゃったね」
「誰のせいで」
「僕だね」
Aの機嫌を悪くしてしまった。
フェリドは自分が要因となってAの心が動くその事に密かな興奮を覚えながらも反省の表情を上にいる彼女に向けた。
「僕の血をちゃんとあげる。新しい服もちゃんと用意する。だからこれ以上機嫌を悪くしないで」
最初はほんの出来心だったのだ。
本当に吸血鬼以外の血を飲めないのか、混ぜたら案外飲めるのではないだろうか、色々と気になった結果どうしても知りたくて。
Aに手を伸ばすと拒まれなかった。
幸いそこまで怒っていない様だ。少し安心した。
「いいわ。先に血をもらうからね」
そう言って服についた血がフェリドを汚す事を気にせずに覆い被さったA。
彼女の牙の先に白い首が当たる。
首から、なんて少し久しぶりで些細な息づかいを耳が拾うと言葉にし難い感情が這い上がってくる。
そのあとはいつも通りだった。
血を吸われる快感に身を委ねて高ぶった感情を彼女にぶつけて終る。
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なな - 更新頑張ってください！フｴリドと夢主の甘い関係が好きです。 (2021年12月27日 22時) (
レス) @page23 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - shiroさん» コメありがとうございます！力関係が逆なのに振り回されちゃう主人公可愛いですよね…。もともとはフェリドに振り回されてほしいと思って書き始めたお話なのでその点を褒めて頂けて嬉しいです。まだまだ今後もスローペースで続きますがよろしくお願いいたします！ (2020年10月24日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
shiro - 夢主ちゃんがフェリドに仕えたり、人間だったりする小説は沢山読みましたが、夢主ちゃんの立場がフェリドより上という設定が今まで見たことないものですごく好きです！立場が上のはずなのにフェリドに流されちゃう夢主ちゃんが可愛いです。更新楽しみにしています！ (2020年10月23日 4時) (レス) id: 33dd7ff75e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月18日 13時
