３１話 ページ31
「あいつ、なんて名前だ？」
「セドリックだよ」
今日泊まる部屋を案内されると、あまりの広さに眠れるか心配だった。なので布団だけAの部屋に移動させて一緒に寝ることにした。
先に風呂を貰って、交代で彼がシャワーを浴びに行く。その間俺はAの部屋に敷かれた布団の上でごろごろと寝転がっていた。
いつもなら直ぐに話を切り出して、謝って仲直りして…と、簡単に出来ていたのに、あいつ相手だとどうも調子が狂っていた。
久々にあって、拒絶されるかと思いきや、前と同じように接せられて、正直逆に戸惑った。もっと嫌がられるかと思っていたのに。
だからか、こちらから話をほじくり返して、彼の気分を害するのが怖い。だけど一度決めたのだから、言う。謝らなければずっときっと俺は引きずるし、何にしろ俺があいつに暴言を言ったのは事実だから。それはちゃんと謝罪しなければ。
「姉貴に電話しないと…」
すっかり忘れていた。
電話をかけると直ぐに姉貴がでて、泊まる事も伝えた。
『あの子大きくなっていたでしょ？』
「ああ、かなりな」
『施設の方が一ヶ月に一度写真を送ってくれていたじゃない？あれを見るのが楽しいのよ』
「姉貴、案外面食いだな」
そんな話で盛り上がって、部屋の扉が開いたのに気づいて電話を切った。
「マーディア？」
「ああ、連絡入れといた」
Aは髪を濡らしたまま、頭にタオルを引っ掛けて部屋に入ってきた。そのままベッドに座って頭をがしがしと拭き始める。
「なあA、ちょっと話があるんだが」
「何？」
頭に引っ掛けていたタオルを首に落とすと、ベッドから下りて、俺の正面に座る。
しっかりと目を合わせて、俺は口を開いた。
「一度……、刑務所に会いに来てくれたろう。あん時は悪かった、二度と来るななんて言っちまって」
そう言うと、彼はその場面を思い出してしまったのか、視線を下に落とす。悲しげに揺れる目の光が、初めて会ったときと似ていて、俺は頭を抱えたくなった。
ああ、やっぱりこいつを傷つけていたんだ。
「本気じゃなかった、それだけは分かって欲しい。ほんとに……すまない」
Aは黙り込んでいたが、あぐらをかいて座っていた俺の足に、足がくっつくくらい近くに寄ってきて、膝を抱えてすわって、俺の顔を見上げる。
「本当…？」
「ああ…、ごめんな」
そういうと、Aの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
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ash - はじめまして、以前よりセキトさんの作品を楽しく見させて頂いている者何ですが、まさか作品が見られないような状態なっていたのでとても心配しております。もう、セキトさんの作品を見ることは出来ないのでしょうか？他の場所での活動をしているんですか? (2019年5月14日 7時) (
レス) id: 85f7c1b244 (このIDを非表示/違反報告)
セキト(プロフ) - 紗衣さん» お久しぶりです。いつも素敵たコメントをくださって本当にありがとうございます！とても励みになっておりました。またお目にかかることができましたらまたよろしくお願いします！ (2019年2月27日 17時) (レス) id: 6cf70c12a7 (このIDを非表示/違反報告)
セキト(プロフ) - みんてぃあさん» はじめまして、お返事が遅くなりすみません。突然のことで驚かせてしまって申し訳ありませんでした。またどこかでお目にかかることがありましたらまたよろしくお願いします！好きと言っていただけて、とても嬉しいです！ (2019年2月27日 17時) (レス) id: 6cf70c12a7 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - セキトさんのお話が大好きでいつも読ませていただいていました！またこうしてセキトさんの話を読むことができて嬉しいです。またセキトさんの作品が読めることを楽しみにしています！ (2019年2月26日 20時) (レス) id: 72ad67f590 (このIDを非表示/違反報告)
みんてぃあ - セキトさんの作品大好きです！いろいろあったみたいで、作品楽しみに読んでいたのですがあまりに突然だったので、こうしてコメントさせてもらいました！また、セキトさんの作品が何かしらの形でまた読めたらなと思っています！待ってます！ (2019年2月19日 23時) (レス) id: f96d082395 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セキト | 作成日時：2018年9月10日 14時
