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24話 ページ24

それから、一ヶ月に一度、彼が会いに来てくれるようになったのだが、半年を経ったある日から連絡が取れなくなった。

「マーディア、ショーター元気にしてる?」

『…ええ。今さっき出かけてしまったの。ごめんなさいね』

月二回の電話をマーディアとするのはとても楽しいのだけど、突然ショーターと連絡が取れなくなって、不安だった。



それから更に三ヶ月が経った。電話口で彼の名前を出さないようにしていたし、マーディアも彼の名前を出すことがなく時間だけが過ぎていた。

それでもやっぱり気になって、意を決して、彼女に質問した。

「ショーター、今どうしてる?」

電話口なのに、彼女が息を詰めたのが分かった。

『……ごめんなさい、出かけてるの』

「本当に…?」

俺は食い下がった。初めて貰った手紙には、一度電話に出れなかったのを気にして「悪かった」と言っていたのに。

そんな彼が連絡一つ寄越さないだろうか…。

俺は彼女が話してくれるのを、じっと待った。









俺は外出許可を得て、施設を出た。

タクシーを止めて、目的地を告げるとドアが閉まり、発車する。



目的地は、少年刑務所だった。

あの日、マーディアが教えてくれた。彼は人を殺してしまい、警察に捕まったと…。

俺は信じられなかった。だけど彼女は震えていた。それにそんな嘘をつく必要がどこにあるというんだ。

だから、俺は彼に会いに来た。

彼女からは「危険だから駄目」と何度も言われたが、もう俺の気持ちは決まっていて。心配しないでと伝えその日は電話を切り、半月後ようやく遠出の許可を得て、タクシーに乗り込み、今少年刑務所についた。

外観は普通の建物だ。ただ、それを囲うフェンスと有刺鉄線が物々しさを与えている。

職員に話をして面会の順番を待った。待っている間、何を話そうかとそればかりを考えていたのに、いざ順番になっても、何を話すか全く決まっていなかった。

面会室に通されて、俺は一人で彼が来るのを待った。部屋は壁も机も椅子さえも白くて、それ以外本当になにもない部屋だ。

しばらくすると扉が開いた。

目をやると、ショーターが驚いた顔をしてこちらを見ている。

「中に入れ、面会は30分だけだ、時間になったら呼びに来る」

後ろに誰か控えていたのか、姿は見えないが、確かににそう言って、彼を部屋に入れると扉を閉めたのだった。

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ash - はじめまして、以前よりセキトさんの作品を楽しく見させて頂いている者何ですが、まさか作品が見られないような状態なっていたのでとても心配しております。もう、セキトさんの作品を見ることは出来ないのでしょうか?他の場所での活動をしているんですか? (2019年5月14日 7時) (レス) id: 85f7c1b244 (このIDを非表示/違反報告)
セキト(プロフ) - 紗衣さん» お久しぶりです。いつも素敵たコメントをくださって本当にありがとうございます!とても励みになっておりました。またお目にかかることができましたらまたよろしくお願いします! (2019年2月27日 17時) (レス) id: 6cf70c12a7 (このIDを非表示/違反報告)
セキト(プロフ) - みんてぃあさん» はじめまして、お返事が遅くなりすみません。突然のことで驚かせてしまって申し訳ありませんでした。またどこかでお目にかかることがありましたらまたよろしくお願いします!好きと言っていただけて、とても嬉しいです! (2019年2月27日 17時) (レス) id: 6cf70c12a7 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - セキトさんのお話が大好きでいつも読ませていただいていました!またこうしてセキトさんの話を読むことができて嬉しいです。またセキトさんの作品が読めることを楽しみにしています! (2019年2月26日 20時) (レス) id: 72ad67f590 (このIDを非表示/違反報告)
みんてぃあ - セキトさんの作品大好きです!いろいろあったみたいで、作品楽しみに読んでいたのですがあまりに突然だったので、こうしてコメントさせてもらいました!また、セキトさんの作品が何かしらの形でまた読めたらなと思っています!待ってます! (2019年2月19日 23時) (レス) id: f96d082395 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セキト | 作成日時:2018年9月10日 14時

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