kn/換気 ページ1
毎日毎日つまんない話ばかり聞かされて、どうしてクラスの友達は学校が嫌にならないんだろうと、たびたび思う。
私は退屈でたまらない。
雨でも晴れでも曇りでも、風が強くても暑くても寒くても私達はいつも同じ部屋の中。見慣れた景色。見慣れた古典教員の禿げ頭。見慣れたみんなの後ろ姿。昇降口から目をつぶったって、私はきっと教室にたどり着けるだろう。
本当に、つまらなくて、つまらなくて、しょうがない。
「おいそこ！外じゃなくて前を見なさい！」
ああ、めんどくさいなあ。
思わず漏れたため息は禿教員の耳にも届いていたらしくて、机を強く叩かれる。なにさ、粋がっちゃって。そんな音、聞きなれてるよ。じろりと睨み上げると珍しく顔を真っ赤にさせた教員の顔が見えた。どうしてそんなに機嫌が悪いの？奥さんと喧嘩でもした？からかいたい気持ちを押し殺して、にんまりと口の端に笑みを浮かべる。
「はいはい、分かりましたよ」
「教員に対してなんだその態度は！」
だからうるさいって！
金払ってんのは親じゃんか！その娘がその金を無駄にしようがしまいが、家庭の問題でしょ。だめだ、いらいらする。笑ってるのもしんどい。
みんなもそう思うでしょ？と同意を求めてクラスメイトのほうを見たが、みんなは意外とそうでもないらしい。冷たい目が私に降り注いでいる。わたしだけなのか、そうかそうか。
「先生、体調が悪いので保健室に行ってもいいですか？」
空気を変えたのは一人の男子生徒の声だった。
よく通るこの声は、同じクラスの中村君から「きんとき」と呼ばれている彼だ。本名は忘れた。サラサラの黒髪と澄んだ青い瞳が美しい彼。テニス部所属だけど、運動神経がいいので陸上部やバスケ部にも助っ人として呼ばれている彼。頭も平均的で誰に対しても分け隔てなく接する優しさを持っていて、女子人気男子人気共に高い彼。
私は、少し苦手だったりする。
何でもできてしまう彼をうらやましいと思ってしまう自分に嫌気がさすから。
「あ、あぁ、いいが、今言うべきことだったか？」
「はい。だって、保健委員はAさんですから」
「...私？」
「そうだよ、自分の委員会忘れたの？」
「そういうことじゃなくて、私だからって、どういうこと？」
頭が疑問符でいっぱいになる。本当に意味わかんない。どういうこと？しかも全然体調悪そうじゃないし。なにがしたいの？
私は彼の意図が読み取れず、教員同様睨みつけた。しかし彼は顔色一つ変えない。
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作者名：赤雪 | 作成日時：2021年4月26日 15時
