case4朔間凛月の場合 ページ4
※凛月出てきません
「Aっ！」
大事な大事なもうひとりの幼馴染の腕を、離さないようがっしりと掴む。予想通り、驚くほどに細く、青白い手
「まーくん。……離して」
「離すもんか」
「強情だねえ」
にやりと笑うA。痩せこけた頬と裏腹に、その瞳にはいっそ異様なまでの生気がほとばしっている
「凛月のとこに行くんだろ。絶対行かせないから」
「おお怖、男の嫉妬は見苦しいよ？」
「しらばっくれんな馬鹿。……俺が知らないとでも思うなよ？毎日のように、お前が凛月に血を飲ませてること」
そう言った瞬間、Aの張り付けたような笑みが崩れていった。
「……へえ」
残ったのは、氷のように冷たく無機質なナニか。思わず、腕を握る手に力が籠る
「凛月は吸血鬼じゃん。吸血鬼に血を捧げることの何がおかしいのかな？」
捕まれていない方の手が、そっと俺の唇に当てられた。ああ、冷たい
「私の血、美味しいらしいよ。夢中になって、他に何も考えられなくなるくらい。まーくんも、どう？」
「俺は、吸血鬼じゃない。……それに」
そう言って彼女の手を振り払う
「凛月は確かに吸血鬼だ。でも、その前に俺らの大事な幼馴染だろ？このままAがあいつに血を与え続けたらっ」
「続けたら？」
「あいつに根こそぎ吸われて……死んじゃうぞ？」
現に、今のAはとても弱々しく、痛々しい。これ以上は駄目だ、本人も気付いているはずなのに、どうして
「死んだって構いやしないよ」
「……じゃあ、言い方を変える。凛月は、お前が死んだら絶対悲しむ。それも、自分が原因でだなんて知ったら……。なあA、りっちゃんを人殺しにしたくないだろ！？」
今ならまだ戻れる。血を吸う者吸われる者なんて歪んだ関係でなく、ただ仲の良い幼馴染へと。凛月はAの血に夢中だと言ったが、俺が絶対目を覚まさせてやる。だから……
「したいよ」
「……え、」
「りっちゃんに、私の血を吸って、殺した罪を一生背負って、一生私のこと忘れないでほしいよ」
「なに、いって」
「それをね、りっちゃんの一部になって一生見続けるの。文字通り、りっちゃんの血肉になってね」
そう言ってA――大事な大事な幼馴染は、それはそれは幸せそうに笑った
「だから早く、根こそぎ吸い付くしてほしいの……♪」
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いなほん(プロフ) - 暁夜桜さん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉をいただき、作者冥利に尽きます！頑張って更新しますので、よろしければこれからも見てくださいね (2017年3月18日 23時) (
レス) id: eb5ee429dc (このIDを非表示/違反報告)
暁夜桜(プロフ) - コメント失礼します。どれも素敵なお話で惹きつけられました!とても面白かったです。これからも無理せず更新頑張ってください。応援してます。 (2017年3月18日 22時) (レス) id: f5eefd0402 (このIDを非表示/違反報告)
いなほん(プロフ) - 夢霧真白さん» コメントありがとうございます！内容が内容なので、色んなＰを敵に回しておるのではとビクビクしながら書いているので、そう言ってもらえると嬉しいです！ (2017年3月18日 22時) (レス) id: eb5ee429dc (このIDを非表示/違反報告)
夢霧真白(プロフ) - すごく面白かったです・・・！司くんが可愛くて好きでした！ (2017年3月18日 21時) (レス) id: ccbaebfb4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いなほん | 作成日時：2017年3月7日 23時
