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『お願いします、彼を助けてください!』


けたたましく響くサイレンとらしくない叫び声。上手く動かせない体で自分の状態を確認する。どうやら俺は血に塗れているらしい。隣に転がっているのは凶器のナイフといった所だろうか


『福良、ごめん。俺のせいで』


なんで泣いているの?俺、河村の泣き顔は見たくないんだ。そう思って手を伸ばそうとするがどうしても動かないーーーー



「……………ん」
「おはよ、福良さんお目覚めですか」
「おはよ…なんか、変な夢見てた気がする」
「険しい顔してたよ、どんな夢だったの?」
「いやー、朧気にしか覚えてないけど…なんか河村がないてた」
「えぇ、僕が?それは嫌だなあ」
「現実の河村は泣いてなくてよかったよ」


今はもうぼんやりとしか思い出せない夢のことを考えながら彼の頭を撫でる。なんだか不穏な夢だった気はするけど、彼がここにいるのなら俺はなんだろうと構わない


「あ、雪やんでる」
「ほんとだ。今日は外に出れそうだね」
「福良さんなにか買うものがあるんですか?」
「そうだねえ、なにかお揃いのもの買いたいなって」
「いいですね、ついでに食材も買って帰りましょう」


彼も、俺も喉まででかかった「あと7日なんだし」という言葉を飲み込んだ。この言葉を言ってしまったら全てが崩れていくような気がしたからだ


「ちなみに福良さん」
「ん?」
「寝顔はバッチリ写真に収めさせて頂いた」
「は!?え!?マジで言ってる?」
「ジャーーン。ロック画面!」
「うわ、最悪…」
「いやー、福良さんかわいいなあ」


ニヤニヤと彼はスマホ画面を見つめる。1個前のロック画面も俺だったよね?というツッコミの代わりに俺もスマホ画面を突き出す


「言っとくけど河村の方が可愛いから」
「は!?何この写真。僕知らないんだけど」
「まあ勝手に撮ったからね」
「くそう…………」


彼が俺のチョコを頬張る写真、つまり死ぬほど可愛いやつをロック画面にしている。ロックを解除しようとする度に可愛さで死にかけるのは彼には内緒だ


「まあまあ、おあいこということで」
「うーむ、納得いかないぞ…」


彼がなんだか耳を真っ赤にして文句を言っているようだったのは無視して外出の支度を始めた。枕元に置いていた金属のネックレスがヒヤリ、と肌に触れた

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作者名:めろんぱん | 作成日時:2020年12月10日 2時

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