37. side Sho ページ37
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病室の扉の隙間からAちゃんと岸くんが見える。
「優太はただの幼なじみなんかじゃないよ。幼なじみでも、世界で一番大切な幼なじみだよ」
聞こえてきた言葉が重く心にのしかかった。
分かっとったずっと。
Aちゃんにとって岸くんが誰よりも大切な人やってこと。
それでも…
Aちゃんも同じ気持ちやと思ってた。
これは俺の勘違いやないって。
でも、抱きしめ合う二人の姿が見えて、一気に体から熱が引いていった。
結局俺は、岸くんには敵わない。
きっと俺が倒れても、Aちゃんは岸くんと同じようには心配してくれない。
涙を流してはくれない。
岸くんがAちゃんのことを好きなのは誰の目から見ても明らかで、多分気づいてないのはAちゃんだけ。
きっと俺がいなければ2人は…
ポケットの中で小さく折りたたまれた、”好きな人”と書かれた紙をぐしゃっと握りつぶした。
病室をノックして、「岸くーん？Aちゃーん？入るで」と声をかける。
「お、おう！」
慌てたような岸くんの返事がして、全部見てんやけどなって思わず笑みがこぼれる。
「荷物、届けに来た」
Aちゃんがベッド横の椅子から立ち上がって、荷物を受け取る。
「ごめんね。わざわざありがとう。あ…体育祭は？」
「俺たち赤団の優勝。岸くんたちの紫団は準優勝」
「うわー！まじか…くっそ俺がいれば…」
「優太がいても変わんないでしょ」
「はぁ！？ひどくね！？」
「きっと紫耀くんの活躍のおかげだよね！良かった！」
「…ありがとう。まぁ、試合には勝ったけど勝負には負けたって感じやけどな…」
「へ？」
「てかAちゃん目真っ赤やで？それに涙のアトめっちゃついとる」
Aちゃんの頬に軽く触れれば、顔を真っ赤にして分かりやすく照れる。
あぁやっぱ…
好きや。
もうどうしようもないくらいに君のことが好きや。
「この後クラスで打ち上げするみたいなんやけどAちゃん行く？」
「あ…行きたいけど、止めておこうかな。優太いるし。優太のお母さん達がくるまで誰もそばにいてあげないと可哀想だから！(笑)」
「おいそれどーゆー意味だ」
「だから、クラスのみんなにはごめんって言っといてもらっていい？」
「ん、分かった」
ホントは心配で、自分がそばに居たいくせに。
Aちゃんは素直やない。
そんなに愛おしそうに俺を見つめるくせに、俺はきっと君の大切には一生敵わない。
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由良(プロフ) - 早く続きが見たいです！少し汗ばむ季節になり体調の変化が激しくなりますがお身体に気をつけてくださいね更新楽しみにしています (2018年6月14日 21時) (
レス) id: 3c3c648279 (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - 紫音さん» 紫音さんコメントありがとうございます。温かいお言葉ありがとうございます！素敵な作品になるよう頑張ります！ (2017年5月19日 21時) (レス) id: 9785910bbc (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - 紫友さん» 紫友さんコメントありがとうございます。あそこは物語の中の一つのキーワードとなる場面なので、そう言って頂けて嬉しいです(*´ω｀*) (2017年5月19日 21時) (レス) id: 9785910bbc (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - ピナパルさん» ピナパルさんコメントありがとうございます。これからも楽しんでもらえるよう頑張りますね！ (2017年5月19日 21時) (レス) id: 9785910bbc (このIDを非表示/違反報告)
紫音 - この作品好きです！面白くて、続きが気になります！！楽しみにしてますね！ (2017年5月18日 22時) (レス) id: 5512444c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優美 | 作成日時：2017年5月12日 1時
