編集長が恋に落ちた場合【セカロマ】 (ページ23)

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第23話ページ23

あ「・・・失礼します」

部屋に入るととんでもなく重い空気を感じる

中では男女5人が切羽詰った様子で漫画を描いていた

羽鳥さんが1人の男性に声をかけた

羽「吉野、来ていただいたぞ」

？「ほんと、ごめん・・・」

羽「今は原稿を落とさないことが先だ」

？「うん・・・」

そして、羽鳥さんが話しかけていた人が私の方を向いた

「よ、吉野千秋です。ペンネームは吉川千春、よろしくお願いします。ほんとにすみません・・・」

あ「五十嵐Aです。ペンネームはAです。気になさらないでください。困った時はお互い様です。それより、進めちゃいましょう。どうすればいいですか？」

吉「とりあえず、このページとこのページ、背景お願いしてもいいですか？」

あ「わかりました。雰囲気の方は–––––––––––」

そして、今に至るわけだ

呼び出されたのが金曜日の夕方だったので、そこから丸一日と少し

23:42、もうすぐ日曜日になろうとしている

かっ、帰りたい・・・

ぶっ通しで漫画を描き続けて、たまにほんの少しの休憩を取る

それはいつものことだ、わたしもとんでもない入稿をすることがあるから

でも、今日は違う

大人気漫画家のアシスタント、初対面のメンバー、ピリピリした空気・・・

そして一応私も漫画家なのだ

アシスタントの方が描いた原稿をある程度チェックしてから吉野さんに渡すという責任のある状況

いろいろな条件が私の立場を狭くしていった

疲れたから帰りたいというより、肩身が狭いから帰りたいのだ

そんなことをぶつぶつ考えていると、部屋に羽鳥さんが入って来た

羽「日曜日の17時が限界だ」

吉「っ・・・」

これは、かなりやばいかもしれない・・・