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12メートル ページ12



「なんだよ、急に」

私の隣、丸っこい優しげな木でつくられた椅子に、木兎は腰かける。

「⋯⋯確認、したくて」

「カクニン?」

「うん、そう」


眉をひそめた木兎に、

「そういえばね」

できるだけ、明るく。

「世界の中心、わかったよ」

「なんだよ、まだそんな話⋯⋯」

「させて」

「⋯⋯」

本を閉じて、私は木兎を見る。


「私ね、木兎に愛を叫んでほしいの」

「⋯⋯え?」

「そのために今日は来てもらったの。世界の中心も分かったし、いいでしょ?」

それは偶然今思いついただけ、ではあるが。


「俺は叫んでも意味ねえって。言ったじゃん」

「そんなことない、たぶん」

「なんでだよ」

「じゃあ、私が先に叫んでもいい?」

「相手いんの?」

「うん、いる」


私は汗ばむ手を開いて、閉じる。
人差し指で真っ直ぐに指した先、


「⋯⋯俺?」


「うん、そう」


目を丸くする彼を前に、私は深呼吸をする。

やっぱり叫べはしない。
ここ図書館だし、と言い訳をしつつ、息を吸い込む。




「⋯⋯月が、綺麗ですね」



「⋯⋯え?」


やっぱり、伝わらないだろうか。


「⋯⋯月?」


木兎が知ってる訳、ないか。




「出てないけど?」



――がくり。

「やっぱりそうなるよね」

「え、俺なんかカン違いしてる?」


「うーん、まあ⋯⋯」

頬が今更、赤くなる。

「と、とりあえず外行こうか」

「え、ちょっと待てよ!」


立ち上がろうとして突如、右手が引っ張られる。
木兎の温度。


「俺のこと好きなんじゃないのかよ?!」


閲覧室のまばらな人影が、私たちを見る。


「え、と、違わないから!外いこ、ね?!」



思わず本を棚に戻すのも忘れて、逃げるように木兎を引っ張って図書館を出た。

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ティラミルク(プロフ) - おこめさん» 返信が遅くなり申し訳ありません。夏目漱石のこころ、いいですよね(*'▽')読破済みの方と出会えてうれしいです!二回も高評価を……何とも嬉しいお言葉!かっこかわいい木兎さんをお届けできたようでなによりです。コメントありがとうございました。 (2020年6月26日 23時) (レス) id: 5de232f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 本当にいい作品です!!夏目漱石のこころ、私も読んだことあります!!あああああああああもう木兎さんがカッコよすぎます!それでいて可愛いです。つい勢いで1番いい評価2回も押してしまいました笑 (2020年5月19日 9時) (レス) id: 4a878294b2 (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 百合郷さん» コメントありがとうございます(*^^*)こんなにお褒め頂けるなんて恐縮です!少し先の話になってしまいますが、そのうち番外編を追加する予定なので、よろしければその時も見て頂けると嬉しいです(*'▽')木兎さんのキャラがつかめていたようで良かったです(笑) (2019年12月16日 18時) (レス) id: edef360b1e (このIDを非表示/違反報告)
百合郷(プロフ) - 完結、お疲れ様でした!遅ればせながらも、最終話まで拝読させていただきました。題名と内容がとても考えられたもので、木兎さんの台詞が本当にそれっぽいなぁと、楽しませてもらいました。素敵な作品をありがとうございました! (2019年12月15日 23時) (レス) id: 5fdd484f6d (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 優麻さん» かっこいい木兎さんを感じていただけて良かったです!ありがとうございます! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 9b0bde0b73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ティラミルク | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年10月28日 16時

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