43話 ページ9
Aside
茂みの奥を覗こうと、草をかき分けようとしたその時＿＿＿
『えっ？』
茂みから大きな手が伸びて腕を掴まれると、抵抗する間もなく強引に引っ張られた。
突然の出来事に、思わずぎゅっと目を瞑る。
｢誰だ｣
頭上から低い声が聞こえゆっくりと目を開くと、目の前には見知らぬ男性がしかめっ面でこちらを見ていた。
｢…………あ？｣
褐色肌に鋭い深緑の双眸、焦茶色の長い髪が特徴的なその人は、私の顔を見るなり驚いたような声を出す。
学園指定のベストを来ているから、この学園の生徒だろう。今の時間は授業中のはずだけれど…
｢………｣
『………』
目の前の男性は私の腕を掴んだまま、じっと見つめている。
小鳥のさえずりや風の音だけが響く温室。そこに漂う異質な静寂は数秒ほど続き、私はようやく口を開いた。
『ごめんなさい…邪魔をするつもりは無かったんです』
この気まずい雰囲気を何とかしようと声を掛ける。
しかし、相手は私を見つめるばかりで微動だにしない。
驚きすぎて放心しているのだろうか………
いや、そんなことはないとは思うけれど。
あまりに動かないものだからさすがに心配になって、男性の目の前で手を振ってみる。
するとようやく気付いたのか、男性の大きな手が掴まれていた腕から離れ、ホッと息を吐く。
『あの、大丈夫ですか？』
｢……なんで“女”がこの学園に居るんだ、何処から来た？｣
『……え？』
彼の問いかけに一瞬思考が停止するも、すぐにこの学園が男子校だったことを思い出す。
確かに彼の言う通り、私の存在は不審だ。
学園の眠りの間で目覚めたんです＿＿＿＿などと説明しても信じてもらえるとは思えない。
かと言って、下手に誤魔化して逃れられるような状況でも無いし……各寮長方にも説明していない段階で逃げ出して他の生徒に見つかりでもすれば、それこそ大騒ぎになる。
しかし目の前にいる彼は私を見ても声を荒らげたり騒ぎ立てる様子も無く、冷静に今の状況を理解しようとしている。
彼になら、警戒心を解くためにも話していいかもしれない……
『色々事情があって、身寄りのない私を学園長が受け入れてくださったのです。
学園長のお心遣いで、他の生徒さんが居ない時間帯に学園内を見学させてもらっていました』
｢…クロウリーが？｣
私の話を聞いた彼は学園長の名前を呟くと、少し怪訝そうに耳を立てた。
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ゆう - 続き気になります〜！5章ようやく読み終わってマレウスが気になってこの小説にたどり着きました！更新頑張って下さい！ (9月11日 7時) (
レス) id: ee0702bc5c (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (7月9日 7時) (レス) id: df55bc0165 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん - 初コメ失礼します！とても面白かったです！もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています！(*´ω｀*) (2022年9月16日 20時) (レス) @page10 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちち(プロフ) - 初コメ失礼します💦この物語すっごくいいです！続き楽しみしてます!!!作者様のペースでいいので更新頑張ってください！応援してます🔥 (2021年9月25日 18時) (レス) id: 37a91e5a3f (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - 続き待ってます！すごく面白かったです！ (2021年5月9日 20時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：毘張 | 作成日時：2020年9月21日 21時
