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37話 ページ47

クロウリーside



『とっても親切な方ですね』


クロウリー「……!」



柔らかな笑みと共にふわりと漂う甘い香りが鼻を掠める。穢れを知らぬ純潔の花のように笑う彼女に、何故だか目眩がした。



『…どうかされましたか?』



仮面を押え俯く私を気遣う声が聞こえる。一瞬手元の紅茶の水面に映る自分の顔が見えた気がして、思わず目をそらす。緩む口元に力を入れ、努めて明るい声を出す。



クロウリー「いやぁ〜、ドラコニアくんの話だけでしか聞いていませんでしたが…あなたがこんなにも優しい心の持ち主だとは思わず、涙が出てしまいましたよ」


『そ、そんなにですか?』


クロウリー「この学園の生徒は将来有望な子達ですが、その分問題児が多くて…。こうして優しい言葉をかけてくれるのは、あなたか監督生さんくらいです」


『…監督生?』



“監督生”という言葉に反応したAが、小首をかしげ復唱する。そういえば、彼女が目覚めるきっかけ(・・・・)である彼らについて説明していなかった気がする。



予期せぬトラブルを避ける為ドラコニアくん達にも詳細を省いて伝えたものの、同じ学園内で生活する者同士…バレるのは時間の問題だ。後で説明の場を設けるとして、ここはとりあえず存在だけ知らせておくことにしよう。



クロウリー「実はですね、あなたの他にも特例で学園内に在留している生徒が居るんです。今度会った時に紹介しましょう」


『ありがとうございます』


クロウリー「優しい子ですから、きっと仲良くなれるはずですよ」



でないと私が困ります…とは言えず、「早くお会いしてみたいです」と嬉しそうに微笑む彼女を眺めながら紅茶を一口飲む。



…こんな小さく可憐な少女に恐ろしい“呪い”がかけられているなど、一体誰が想像できるのだろう。



記憶が失われているためか、自身の運命すら知らずに笑う彼女に、私は一体何をしてあげられるのか。考えれば考えるほど、可哀想に思えてしまう。



彼女に蓄積された魔力が尽きる前に、何としても記憶を取り戻し解呪法を思い出してもらわなければならない。そうでないと…



クロウリー「…大変なことになりますから」


『何かおっしゃいましたか?』


クロウリー「いいえ、何も!…そろそろ行きましょうか」



椅子から立ち上がり手を差し出す。触れた小さな手を強く握る。



クロウリー「学園を案内します」



決してこの手を離さぬようにと、自分自身に言い聞かせながら…

◇◇◇◇→←36話



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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス  - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時

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