36話 ページ46
マレウス「……良いだろう」
意外にもあっさりと承諾した主人に驚き、一体何を耳打ちしたのかとシルバーが聞くと、リリアは口元に人差し指を当て小さく笑う。
てっきりまた拒否されるのではと思っていたクロウリーは、意外そうにマレウスの顔を覗く。何やら嬉しそうな表情で隣のAを見つめている。
リリアが何を言ったのかは分からないが、彼の気が変わらない内に切り上げてしまおうと考え、クロウリーは話を続けた。
クロウリー「それでは、放課後の臨時会議でお会いしましょう。さぁ、Aさんはこちらでお預かりしますよ〜」
『お世話になります』
マレウス「何かあったら僕の名を呼べ。何処からでもすぐに君の元へ向かう」
『ふふっ、ありがとう』
クロウリー「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ…」
念を押して言うマレウスに微笑みかけると、クロウリーの元へ歩むA。
小さな背中を名残惜しそうに見つめるマレウスの手を引き、「わしらも行くとしよう」とリリアが出口へ向かう。
最後にシルバーとセベクが一礼し退室すると、室内に静寂が訪れる。先程勧められた椅子へ促されAが座ると、クロウリーは向かいの席に腰掛ける。
クロウリー「おっと、私の自己紹介がまだでした……私は此処NRCの学園長、ディア・クロウリーと言います。よろしくお願いしますね」
差し出された手を躊躇うことなく取り、改めて握手を交わす。ふたりの手からは、人肌と言える程の体温は感じられない。
『はい、よろしくお願いします。えっと、学園長とお呼びすれば?』
クロウリー「そんなに畏まらず、是非とも“クロウリー”と呼んでください」
「まぁ生徒の中には学園長とすら呼んでくれない子も居ますがね…」とボヤくクロウリー。まだ4人としか接点の無いAは、(マレウスのことかしら…)と心の中で考察する。
『彼らから生徒でない私の在留を、クロウリーさんが認めて下さったと聞きました。本当にありがとうございます』
深々と頭を下げ礼を述べるAに、クロウリーは慌てて顔を上げるよう声を掛けた。
クロウリー「いいえそんな、困っている女性を放ってはおけませんから」
「私、優しいので!」とお決まりの台詞で笑ってみせるクロウリーに、彼女は素直にうんうんと頷く。
『えぇ、とっても親切な方ですね』
なんの悪意も皮肉も無い言葉に、クロウリーは思わず泣きそうになり目頭を押える。
1559人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時